中・米の金融引締めは長期的に株式市場へマイナス影響か

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

中・米の金融引締めは長期的に株式市場へマイナス影響か

[2017年6月7日]

1

先日、中国の李克強首相は新たな報告を発表し、今年の経済成長率の目標を6.5%に引き下げ、インフレ目標を3%とした。近年、中国本土では積極的に各種改革が実行されている。量より質を求める中、経済成長率が徐々に低下することは、予想の範囲内であると言えよう。李首相の報告を見ると、注意すべき点が2つある。まず1点目はM2の成長目標が緩和されていること。そして2点目はインフレ圧力が高まっていることだ。

マネーサプライM2の伸びが鈍化したことは、中国政府が年内において信用取引の増加抑制に尽力し、レバレッジ解消を継続していく事が重要事項となっていることを反映している。実際のところ、中国政府は昨年すでに金融リスクを防ぐ提案を行なっている。信用取引を厳しく抑制するなか、銀行がビジネスを維持するため、オフバランス融資の規模を再び拡大する可能性に留意が必要である。インフラについては、中国の目下のインフレ率が3%未満となっており、通年で3%のインフレ目標を実現するには、将来的に物価を上昇させることとなる。もし、トランプ大統領がインフラ政策や減税政策を実現すれば、世界的にインフレ圧力が上昇すると見られ、そうなれば輸入インフレが中国国内の物価を押し上げることとなろう。

近年、香港株式市場の好調はその多くが中国本土からの資金によってもたらされている。中国国内でのマネーサプライM2の増加が減速するにつれ、中国本土資金による香港株買い入れは中長期的になるか、以前ほど積極的ではなくなるであろう。このほか、米国は年内に少なくともあと2回の利上げを行うと見込まれ、米国の金利上昇は中長期的に香港からの資金逆流を引き起こすかもしれない。中国・米国が共に金融引締めの流れのとなる中、香港株は中長期的に圧力を受けるであろう。株式市場だけではなく、中国・米国の資金逆流は高価格な不動産市場にも調整圧力をもたらすであろう。

香港金融管理局のデータによると、現在約2,600億元の資金が香港の銀行システム内残高に滞留している。もし、この資金が香港に滞留を続けるならば、米国が再利上げを実施しても、香港も追随するとは限らない。注意すべき点は、香港から資金が逆流するスピードがとても速い可能性があることだ。一旦、資金が急速に離れることとなれば、香港の利率は短時間内で急上昇する可能性がある。そうなれば、香港の金利は再び米国の利上げ幅に追随する必要が出てくるかもしれない。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。