トランプ政治危機の影響は軽微

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トランプ政治危機の影響は軽微

[2017年5月29日]

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トランプ米大統領は最近政治の渦に巻き込まれている。ロシアへの国家機密洩漏が指摘され、トランプ大統領の弾劾を求める議員も出ており、政治情勢が一触即発の危機となっている。昨年の選挙期間中に、トランプ氏は就任後の減税や、インフラ建設の支出拡大及び金融規制緩和を承諾していた。このため、市場では上述の政策が米国経済成長の加速を後押しすると期待され、良好な先行き見通しが米国株を刺激し、トランプ氏の勝利後から継続的に相場上昇を牽引してきた。だがトランプ効果の減退に従い、また、相次ぐ政治問題の勃発もあり、市場はトランプ政権の前途を不安視し始め、トランプ大統領が打ち出してきた経済政策が実施されない可能性に懸念が生じている。政治リスクが高まるなか、米国株は一度急落相場となり、米ドル指数も昨年11月の大統領選以来の低水準となっている。

相次ぐ政治問題発生の少し前から、米国株はすでに強勢が失なわれつつあった。これはダウ平均相場が21,000ポイントを維持できていない点からも見て取れよう。株式市場に再上昇の力が無い以上、下方調整が出るのは正常な動きであるため、トランプ氏による政治問題は、タイミング良く株式市場に調整の口実を提供したと言えよう。筆者は、トランプ政権の先行きが米国経済に深刻な影響をもたらすことはないと見ている。なぜなら、米国経済はトランプ氏の大統領就任前からすでに好調であったし、当時は減税やインフラ建設支出拡大などの措置が無い経済状況での安定成長であったため、たとえトランプ氏が失脚していたとしても、米国経済自体に成長の勢いを維持する能力があったと言えよう。

中国・香の株式市場にとって、トランプ政権の政治危機はただの騒音であり、両エリアの株式市場に生じる影響は実質よりも心理的なものが大きい。比較してみると、北朝鮮問題のほうが更に注目の価値があろう。今年に入ってから、北朝鮮は国際社会に反発する中で立て続けにミサイルを試射しており、米国から朝鮮半島海域に艦隊を派遣する事態となっている。この先、ひとたび北朝鮮が試射中に間違いを起こせば、例えばミサイルが他国領土や専属経済区に落ちた場合、その結果は非常に深刻となろう。地政学的リスクに基づくと、北朝鮮問題が中港株式市場にもたらす影響は、トランプ危機よりも確実に大きいのだ。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

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