香港は恒久的な住宅政策を持つべき

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香港は恒久的な住宅政策を持つべき

[2017年9月25日]

中産階級の不動産購入を支援する為に、香港政府は「初回不動産購入政策」(首置上車盤)の発表を予定している。政府による市民の不動産購入支援は初めてではなく、これまでにも何回か不動産購入支援プランを打ち出しているが、その成果への評価は人によって様々である。金融危機後、世界中の資金が飽和し、利率が極めて低い水準まで引き下げられたこともあり、香港の不動産価格は着々と上昇した。資金と利率といった要素のほかに、人口増加が続いたこともまた不動産市場上昇の牽引要因となった。

不動産価格の上昇スピードが、同時期における給与の増加スピードよりも遥かに大きいため、香港人が不動産を保有する夢は近年徐々に難しくなってきていると言える。不動産購入が難しい状況は若い世代だけに限られたものではなく、理想的な収入をもつ中産階級も同様に不動産購入が難しい苦境に面しており、家族で不動産取得を支援する形が既に時代の趨勢となっている。香港人の不動産購入問題を解決するには、香港政府は恒久的な不動産政策を有する必要がある。もし、“一時しのぎ”の施策が続くようであれば、問題はいつまでもつきまとい続けることとなろう。

ニュースによると、「初回不動産購入政策」によって販売価格は市場価格の半分となりえる。その為、その不動産物件を転売する際には、売却先が政府に限られ、売却禁止期間が設定されるといった、多めの制限を受けることとなる。価格面で見ると、「初回不動産購入政策」の販売価格は間違いなく魅力的である。しかし、価値上昇の観点から見てみると、通常の不動産取引に見劣りするものとなる。多くの香港人にとって、不動産は生活必需品であるだけでなく、重要な投資商品であり、不動産価格の上昇で財を成すケースはいくらでも見かけるものである。もし、この政策において、購入価格で政府にしか売却できないとすれば、不動産で財を成そうという人にとっては、「初回不動産購入政策」に興味を持たないであろう。

しっかりとした需要に支えられ、不動産ディベロッパーは近年小さ目の面積の住宅建設に力を注いでいる。「初回不動産購入政策」(首置上車盤)の出現が、この「ナノ住宅」市場にショックをもたらすかもしれない。一般市民の不動産取得を支援することはもちろん重要であるが、市民の居住面積が日々低下していることにも、香港政府は対処する責任がある。

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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