- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2019年7月2日]
米中関係の更なる緊張が足かせとなって、ハンセン指数は5月の累積下落が2,800ポイント近くとなり、「五窮(窮する5月)」という香港の市場格言通りとなった。5月の暴落後、6月の香港株式市場は依然好転の気配がないまま、相次ぐマイナス材料が投資ムードの足かせとなっている。緊張した米中関係の継続や世界経済が下落トレンドとなるなど、不確定要因がとりまくなか、香港株式市場が今年「七翻身(7月に反転)」となるかはまだ疑問がある。
香港株式市場の先行きは、間違いなく米中関係の進展具合が重要な要因となる。6月18日にトランプ氏は来年の再選を目指して立候補を正式に表明しており、引き続き「アメリカ・ファースト」が選挙のスローガンとなる。この「アメリカ・ファースト」を掲げるなか、トランプ氏の対中政策はなおも強硬路線をとることが予想され、トランプ氏の気が済む利益を得られるまで続くだろう。米大統領選を来年11月に控え、あまりにも早く中国との貿易合意が成立した場合、選挙の際に有権者がトランプ氏の対中貿易交渉での成果を忘れ去ってしまうかもしれない。それゆえ、有権者に自分の功労を記憶してもらえるよう、トランプ氏は来年上半期になってようやく中国との合意に達する可能性がある。つまり、米中紛争はまだしばらく長い時間を要する可能性があるだろう。
米中の対峙が続く中、世界の多くの国で製造業PMIがすでに50を下回り景気悪化が示されている。また、米国の雇用市場にも弱化の兆しがあり、世界経済の落ち込みは否めない事実となっている。経済リスクの拡大に直面し、米FRBは最近何度もハト派の声明を出している。また金利先物では、米国が年末までに3度の利下げを行う可能性が示されている。そして少し前には、オーストラリアとインドの中央銀行が真っ先に利下げに踏み切り、ECBも9月に新たな長期リファイナンス・オペ(LTRO)を行うとしており、世界の多くの国々が金融緩和となるなか、米国が利下げの波に乗ることは当然と言えるだろう。
また、来年は米大統領選の年であり、政治の中立性を示すため、米FRBは通常、総選挙の年に政策金利を調整しない。つまり、もし利下げが必要な場合、来年よりも今年が適切となる。米中関係が迅速に改善されない限りは、FRBが9月および12月に利下げを行う可能性が極めて高い。経済および株式投資にとって、長期利下げはある一定のプラス効果があるものの、利下げの背後には経済弱化が含まれているため、利下げがプラス作用を発揮する前に、株式市場は経済弱化懸念による下落の可能性がある。
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