バリュー投資の機会は得難く、最も難しい1年となる可能性

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バリュー投資の機会は得難く、最も難しい1年となる可能性

[2022年8月3日]

今年の夏の太陽は暑すぎるようだ。世界気象機関によると、世界各地で異常な熱波が続き、過去最高気温を更新している。日常生活だけでなく、今年は投資市場も苦境にある。ロシアのウクライナ侵攻から、欧米によるロシアへの一方的制裁措置があり、局所的な地政学のバタフライ効果は、食料やエネルギー等への影響を通じて、徐々に世界経済に波及している。

今日に至るまで、米国の経済環境と経済政策は、なおも国際投資家が市場を予測するに際しての最も価値ある風見鶏でありつづけている。調査によると、米国のファンドマネージャーは資本市場価格に対する悲観的な見通しから、現金保有を過去20年間で最高水準まで増やしている。歴史的に、FRB(米国連邦準備理事会)も厳格な金融政策によってインフレを抑制してきたものの、今回の利上げ後、インフレ率はまだ40年来の高水準に達しており、債券市場の利回りは長期サイクルの頂点に達している。

市場価格はすでに先行指標となっており、人々の将来的な経済に対する期待を反映している。そこで重要なのは、投資でさらなる利益を上げるために、いかにして市場価格を先取りするかということだ。

一番シンプルなのは、価格変動のパターンに基づいて可能な限り正確な予測をすることだ。下のグラフは、通常、金と米ドルは同じ方向に動く傾向はなく、米ドルと米国株は反対方向に動く傾向があることを示している。つまり、金と米国株がともに下落すると、ドルが上昇する可能性が高くなり、その逆もまた然りである。

そして今回、驚くべきことに、米ドルと米国株が同時に上昇し、金が急落を続けたのである。いつもと異なることが起こるのは、そこには必ず理由があるはずで、少なくともいずれか一つに偽りがあるということだ。つまり、米国株が「フェイクな」高騰であるのか、もしくは、米ドルが「フェイクな」高騰であるか、といえよう。

筆者はこの米国株の上昇を、空中に浮かぶ城のようなものだと考えている。まず、金は嘘をつくものではないため、その価格は市場の自己調整に大いに基づくものである。この2年間、経済活性化のために、米国に代表される先進国が相次いで低金利政策を実施しただけでなく、中国など多くの途上国も通貨発行量を大幅に増やした。銀行の立場からすると、信用拡大が債務問題の顕在化を加速させたといえる。例えば、ヨーロッパの国々では、新たに通貨を発行する権利がなく、債務解消のためには、金を売却するほかに選択肢はない。需要の減少が予想される場合、金価格の一時的な下落は正当化される。もちろん、長期的には、インフレが収まらなければ、金はいずれ上昇する。また、FRBの利上げペースはなおも減速せず、株式市場が債券市場への資金流出によって圧迫されることは間違い無いだろう。

多くの面で、米国経済はリセッションに突入する可能性が高い。経済危機が政治危機に転じ、政治的駆け引きは経済摩擦を悪化させる。幸いなことに、世界同時不況が起こるかどうかは別として、その期間はこれまでより短く、早くなるに違いない。投資家にとって、中国と欧米の経済状況の違いはチャンスである。今、大きな問題は、いつ行動を起こすかではなく、どこで行動を起こすかである。その答えは、次回のレポートにてお伝えしたい。

フェー・チャン

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