米日は原油価格暴落を好感か

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

米日は原油価格暴落を好感か

[2015年1月8日]

P1ルーブル安に歯止めをかけるべく、ロシア中央銀行は大幅な政策金利の引き上げを決定。原油価格の下落が止まらない中、ロシアが最終的にデフォルトに陥る可能性に市場の注目が集まりつつある。ロシアは新興国市場の一部を構成しているため、ルーブル暴落は新興国市場の金融危機勃発の可能性を再燃させてしまい、不安定な情緒が一部の新興国市場の通貨及び株式市場を触発し、ここ最近著しく下落させている。アジア金融危機の後、新興国はいずれも財政改善に力を尽くし、現在、大部分が十数年前と比べ理想的な財政状況となっている。このため今後大規模な資金流出が続けば資産価値の暴落を触発するであろうが、そうでなければ、現段階で金融危機が起こる可能性は依然として低い。しかし、原油値段下落によって生まれたさまざまな懸念はすでに世界の金融市場全体にダメージを拡散している。

原油価格を暴落させる要因は数多く挙げられるが、中には複雑な政治的要因が絡んでいる。ウクライナ問題によってロシアと西側陣営の衝突に不快感が高まっており、質の低い原油価格がロシアの財政にロスを与えているのは、西側諸国によるロシアへの厳罰の一つである可能性が非常に高い。ロシアとの関連のほか、原油価格暴落は米国の量的緩和終了及び大幅な円安の影響も大きいと見られる。

米国ではすでにQE3が終息となり、今年はさらに政策金利を引き上げる見通しだ。ひとたび利上げとなれば、企業の経営コストが上昇するため、原油価格の下落は利上げによるマイナス影響を緩和できる可能性がある。つまり一部の企業にとって、原油価格の下落は米FRBによる利下げと同義となろう。日本に目を向けると、急速な円安により輸入商品が値上がりしており、消費増税も相重なって、日本国民の生活負担は日ごとに重さを増している。日本はエネルギー資源の輸入依存度が非常に高いため、原油価格の下落に従い原油輸入のコストも下がることから、日本国民の生活への圧力を緩和する後押しとなろう。

日米両国はもともと同じ戦線に立っており、自国の利益の目線で考慮すれば、原油価格の下落は両国にとってメリットの方が多い。このため、日米がさらなる原油価格の下落を好感する可能性は大いにあるのだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。