両会による投機的銘柄の落とし穴に注意

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両会による投機的銘柄の落とし穴に注意

[2015年3月10日]

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昨年11月の利下げに続き、中国の中央銀行(人民銀行)は近日再び利下げを行った。昨年11月からこれまで、中央銀行はすでに2度の利下げと1度の預金準備率の引き下げを行っており、相次ぐ金融緩和措置は中国本土経済の下落圧力が予想を上回っていることを物語っている。預金準備率の引き下げによって銀行の流動性を高められるものの、借入需要が弱ければ、預金準備率の引き下げは最終的に資金の氾濫を誘発するばかりで、実体経済の安定化に大きな効果をもたらすことはまずない。比較して、利下げの方がより経済を刺激できる。なぜなら債務を抱えてさえいれば、企業も個人もみな恩恵を受けられるからだ。

 

前回の利下げと比較して、今回の利下げは中国・香港の株式市場に大きな上昇相場をもたらしていないため、一部の投資家は失望しているかもしれない。実のところ、市場ではすでに中央銀行による春節前後の利下げが予想されていたため、利下げが株式相場上昇の材料不足となった事は想定内だったのだ。このほか、いかなる措置も効果を発揮するには時間が必要となるため、新たな利下げが経済安定化に効果があるかどうかは依然未知数だ。経済指標に安定回帰のシグナルが現れるまで、一部の投資家はしばらく市場を離れて様子見する可能性もあろう。一回目の利下げと比べれば、二回目の利下げがもたらした株式相場は明らかに理性的となっている。

 

年に一度の両会(全国政治協商会議と全国人民代表大会)が北京で開催され、中央政府が経済刺激策を打ち出すか否かに投資家の注目が集まる。いつも「両会」の際には、投資家達による投機対象の銘柄探しが過熱し、環境保護や、新エネルギー、水利関連などが「両会」による投機的銘柄となっている。しかし、注意すべき点として、香港の株式市場においては「両会」終了後に必ずしも上昇しておらず、ハンセン指数は2013年3月に700ポイント以上もの下落、2014年3月にも600ポイント以上の下落となっている。これらのデータを参考にすれば、「両会」後に株式相場が上昇すると見ていた投資家達が失望に見舞われた可能性があろう。現在、再びインフラ建設、新エネルギーなどの業界の発展について「両会」で言及されると見ているが、以前からの予想がすでにあったため、もし新政策や発言が出てきたとしても新たなサプライズとまでは行かず、投資家達は新たな銘柄の物色意欲が湧かずに、薄商いで市場を離脱する可能性もあるだろう。

  

 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)  

 

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