- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年5月28日]
中国本土のA株がMSCIの採用銘柄となるか否かについて来月発表があるとの予想だが、もし採用となれば、A株が刺激され好パフォーマンスとなり、香港株も好影響を受け恩恵を得られる望みが有る。だがこれに反して、A株がなおも締め出し扱いとなれば、失望情緒が中港の株式相場に調整をもたらしてしまうだろう。上海香港ストックコネクトの実施によって確かにA株の国際化は加速できたものの、上海香港ストックコネクトのもとにあるA株が本当の意味での国際化を遂げるまでにはかなりの距離がある。A株の開放過程に加え、MSCIが決定を下す際には、人民元の国際化の程度も考慮する可能性があるだろう。ここ数年、人民元の国際市場での受容性は確実に上昇しているものの、今後全体的な変動が起こる可能性はなおも未知数だ。規制の有るA株や人民元がまだ全面的な開放に達していないことから、筆者は来月のMSCI発表に過度な期待は寄せていない。
実際のところ、A株のMSCI採用の遅れは好ましくない事態ばかりではく、少なくとも中国本土はより多くの時間をかけてA株の質を高められるので、その後の方がより良い状態でA株をMSCIに組み込むことができるからだ。ここ数カ月、A株の急騰は激しく、ある銘柄の上昇幅はすでにファンダメンタルズに基づいたものでは無くなっている。もし現時点でA株のMSCI採用が発表となれば、好材料視され、過熱したA株にとっては火に油といった状況となる。MSCI指数を追随するファンドも否応なく高値で買い増しせざるを得なくなるだろう。さらなる市場リスクの拡大を回避するべく、A株のパフォーマンスが合理的な水準に戻った後にMSCI採用となるほうが、より好ましいタイミングであるかもしれない。
狂気的な投機熱によって中国本土の創業ボードの時価総額は5兆元を突破し、PER(株価収益率)は更に青天井の上昇を見せていることから、その神がかり的なパフォーマンスゆえに、株式投資家たちは中国本土の創業市場を「神創板」(神によって創造されたボード)と呼んでいる。「神創板」のパフォーマンスに、興奮を感じるものもいれば、懸念を示すものもおり、筆者は懸念を持つ側に属する。短期的に見ると、投機的資金の要因が株式相場を極めて不合理なレベルへ押し上げるが、長期的に見れば、株式市場の価値は延々と現実とかけ離れた状態ではいられないのだ。現在、投機的資金が氾濫しており、当然「神創板」は勇猛な好パフォーマンスを継続できるだろうが、ひとたびこの勢いが失われれば、バブルが崩壊し経済に深刻なダメージをもたらす可能性があるだろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。