- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年9月11日]
香港株式市場「大時代」と言われた4月の高水準から、ハンセン指数はすでに2割以上の累積下落となっている。この下落幅はベア相場(弱気相場)の要求を満たし、また少し前にはハンセン指数が250日移動平均線を割りこんだ。そして最近「終極のデッドクロス」までもが出現し、香港株式市場がベア相場に突入した可能性は非常に大きい。テクニカル指標でベアが見られるほか、世界的な経済見通しの弱化がベア相場到来の条件を造り上げてしまった。この短期間で世界的に株式・為替相場が大幅下落したことを受け、今後世界経済の成長速度は鈍化すると見られる。経済減速が足かせとなり、企業はこの先収益減の脅威に直面し、業績悪化が株式市場のパフォーマンスを制限することになるだろう。
9月に入ったものの、香港株式市場の変動が7・8月の変動幅より小さくなる可能性は低い。なぜなら9月分のハンセン中国企業株(H株)指数の先物で未だ手じまいされていない取引がまだ数多く維持されていることから、大型機関投資家が「戦場」を9月に転じたことを反映している。事実上、世界の金融市場は今なお先が見えず、単に米国の9月利上げの可能性ひとつ取っても十分に世界の金融市場に継続的なダメージを誘発してしまう。世界的な経済情勢の見通しが明確にならない中、米国が今月利上げに踏み切る可能性は下がりつつあるものの、利上げ先送りが世界的な金融市場の安定を示すものでもない。つまりもし利上げ先送りが決定となれば、それは経済見通しが軟調である可能性に基づくものであるため、投資家達は経済下落の懸念を理由に更なる資産の売却に走る可能性があるだろう。もし利上げとなれば、新興国市場からの資金流出が悪化する可能性が高まるため、その際には世界の株式・為替市場で再び投げ売りの大波が現れる恐れがある。
米利上げの動きに加え、中国経済ももう一つの焦点だ。少し前に、中国人民銀行(中央銀行)は再び利下げと預金準備率引下げで経済刺激を行った。しかし市場では「放水」(金融緩和)だけでは中国経済が苦境から脱却する助けにならないと見られており、どのように民衆から中国経済に対する信頼を取り戻すのかが中国政府にとって当面の最重要課題となっている。民衆からの信頼を取り戻すには、単に「放水」や、インフレ建設投資の増加といった従来の政策だけでは不十分だ。事実上、最近では多くの人々から「中国政府は経済救済の能力がまだあるだろうか?」との質問を受ける。もし信頼を回復できなければ、経済および株式市場は引き続き低迷の一途を辿るのみとなるだろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。