テロが株式市場に長期的影響を及ぼす可能性は低い

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テロが株式市場に長期的影響を及ぼす可能性は低い

[2015年11月26日]

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パリが過激派組織に襲撃され、100名以上の死者をもたらしたテロ事件が世界を震撼させている。一部のニュースでは、事件発生以降パリの街は静まり返り、住民や旅行客が危険を避けるために外出を控えていると伝えている。12月のフランスは従来であれば観光最盛期となるが、テロによる恐怖感につつまれる中、フランスへの旅行者の減少が予想され、現地の観光業や小売業、ホテル業、飲食業などはしばらく苦しい日々を過ごすことになりそうだ。

日増しに猛威をふるうテロ活動に対抗するため、フランスはテロ対策への支出を拡大するとみられ、財政資源の割り当てを再編することになれば、通常の経済活動にも多少の影響が出るだろう。フランスは欧州第2位の経済大国であるため、フランス経済がダメージを受ければ、欧州経済全体への圧力発生は避けられない。少し前に、ドラギECB総裁はすでに12月に現行の量的緩和規模を検討すると発表しており、パリでのテロ発生により、ECBが来月量的緩和を拡大する可能性が高まっている。

振り返ってみると、「911」米テロ事件の発生後に世界の株式市場が急落し、そのうち英、独、仏、日本と香港の株式市場はそれぞれ10、14、18、12および12の営業日を経て下げ幅を回復した。そして、テロの直撃を受けた米国株については、36営業日後に「911」発生前の水準を回復している。どの程度の経済的影響があるのかを論ずるならば、パリのテロ事件は「911」の規模からは程遠く、金融市場がパリのテロ事件で継続的に圧力を受ける可能性は大きくないと言える。また、「911」発生後の、インドネシア、マドリード、ロンドンなどの大型テロ事件による株式市場への影響は次第に短期化しており、テロ事件のニュースに対し、市場である程度免疫が生じていることを物語っている。

米FRB(連邦準備理事会)の来月の議会だが、パリのテロ事件の影響で、市場では来月の利上げの可能性が低下するかどうかが注目されている。もしパリのテロ事件が起こらなければ、来月の利上げの可能性はすこぶる高かったが、今となっては、今回の事件が世界経済の先行きにマイナス影響をもたらす可能性を理由に、FEBが利上げを延期させる可能性が出てきた。テロ事件と比べれば、米利上げ如何の方が、はるかに株式市場の動きに影響を与えるのだ。

  テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

 

 

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