- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2015年12月1日]
数カ月の停止期間を経て、中国は新規株式公開(IPO)を再開するとし、あわせて新株引受構造の改善を行う。これまでIPOのたびに、しばしば兆元規模の資金がA株市場から流出し新株を買う動きがあり、巨額の資金引出しによってA株に頻繁に短期圧力をもたらす要因となっていた。新たな構造では、株式投資家は株主割当の数量確定後に支払うことになる。この変更で、大量の資金が新株購入目当てで凍結されてしまうケースを免れることができれば、A株市場がIPOの期間に受けていた圧力を緩和でき、また資金の利用効率を高める後押しとなるだろう。
中国がIPOを再開させたことは、A株市場が次第に正常回復し、信用取引規制などの整理活動がほぼ完了したことの表れと言える。この先注意すべきは、中国政府がどのように市場から資金を引き揚げるのかとなる。IPOの停止期間、企業はかねてから予定していた資金集めによる業務拡大ができなくなり、資金不足のなか、企業はスローな成長にとどまるばかりで、経済全体での減速脱出がますます困難となっていた。中国政府は「経済安定維持」を強調してきたものの、IPO停止と「経済安定維持」の理念は明らかに矛盾をはらんでいた。このため「経済安定維持」の目標を実現するには、IPO再開が必要不可欠だったのだ。
企業が従来の計画で業務拡大ができるようになるほか、IPO再開はA株の質の向上を後押しする。近年、中国本土では積極的に金融改革が行われ、A株市場の国際的開放構想で、より外資が重要視されてきたため、A株の質をさらに引き上げる必要があるのだ。上場承諾を確実にしたい企業は、いずれもある種の実力を備えた企業となり、管理当局はこれらの企業を厳格に取り締まる必要がある。新規上場する企業がすべて優良企業となったとき、A株は自然と質の高い市場と成るであろう。
株式市場が回復するにつれ、上海・シンセン両市場の取引および証券信用取引の規模は再び一兆人民元台に達しており、株式市場活発化の恩恵を受け、証券会社の10月の純利益は9月よりも著しく増加している。また、現在のIPO再開を材料に、証券会社の売り上げは更に増加する見込みがある。A株が安定成長を維持できれば、証券会社の第4四半期は好業績が期待できるはずだ。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。