中国人民銀行の金利操作による怪物退治の代価とは

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中国人民銀行の金利操作による怪物退治の代価とは

[2016年1月26日]

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ある報道によると、人民元安の阻止および投機筋撃退のため、中国人民銀行(中央銀行)は少し前にオフショア市場から大量の人民元を買い入れ、同時に中資系銀行に同一市場での人民元放出を禁止した。その結果、オーバーナイト金利が163%上昇し、これにより人民元相場も安定した。急激な人民元安に直面する際に、人民銀行が市場に介入するのは不思議ではない。特に人民元の下落幅に対し、人々からの懸念が出てきた場合には適度な関与も必要だろう。香港ドルはアジア金融危機の際にも追撃されたことがあり、「怪物」を撃退するべく、当時の介入ではオーバーナイト金利が300%を上回った。香港と比べると、中国本土の金融体制はやや閉鎖的と言え、怪物退治の際の中国政府の勝算はやや高めだ。

この金利吊り上げで投機筋の撃退はできるものの、金利の急上昇によって貸借コストを高める事になり、実体経済にマイナス影響を与えてしまう。人民銀行がより深く為替改革を進めるにつれ、人民元の動きは経済発展のニーズにより近づいて行くと見られ、現在の経済環境のもとで、マーケットでは人民元がこの先更に下落する可能性がまだ残されていると見ている。経済が好転しない限り、投機筋が再びオフショア市場で元空売りの好機を狙っている可能性は非常に高い。つまり私達は今年、中国政府によるさらに多くの怪物退治を目にする可能性が高く、短期資金利率が高水準越えとなる日が頻出するだろう。

昨年12月、中国の外貨準備高は1,083億ドル急落の33,303.62億ドルとなり、記録開始から最大の下降幅となった。2015年の一年間で見ると、外貨準備高は5,126.6億ドル減少しており、中国からの資金流出を反映している。急速な人民元安に直面し、人民銀行はドル売りに走り、外貨準備高の流出を加速させ、その上中国本土住民が次々と米ドルを買い争う流れとなり、まさに情況は泣き面にハチだ。人民元安のトレンドが続く中、外貨準備高は更に減少すると推測される。外貨準備高が下がるにつれ、中国本土は米国債への投資を減らすか、より深刻な場合は米国債を投げ売りして現金化する可能性もあるだろう。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

 

 

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