金融大局を左右する三大要因

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金融大局を左右する三大要因

[2016年2月3日]

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1月以降、世界の金融市場が混乱に陥っている。人民元や香港ドルなどが投売りされ、世界の各主要な株式市場も大規模な下落圧力に見舞われている。金融市場が現在の動乱情勢を抜け出せるかどうかは、次の三大要因がどうなって行くのかを観察する必要がある。まず第一に米国の利上げの行方、第二に石油の値動き、そして第三に中国本土の経済先行きだ。米国が利上げ準備を始めてから、すでに世界の資金の流れに変化が見られていた。スプレッドが考慮されたことで、資金が次々と各地から米ドルへ逆流したのだ。もし米国が再利上げを行えば、米ドルへの資金流入が加速し、各国の通貨が影響を受けて、株式市場などに更に深刻な圧力が掛かることは避けられないだろう。局面を安定させるため、米FRBが利上げペースを緩める可能性は非常に高い。

石油価格下落の足かせを受け、産油国の財政状況は急速に悪化しており、中でもサウジアラビアは債券発行や支出削減で財政困難をしのいでいる。また債券発行による資金調達や支出削減以外にも、オイルマネー国は海外投資の規模を縮小することで財政難に対応している。オイルマネー国が管轄するソブリンファンドはこれまで各地の投資市場で運用されてきたが、資料によると、オイルマネー国のソブリンファンドの規模は全世界におけるソブリンファンドの実に4分の3を占めているとされる。ある報道によると、国の財政難を救うため、6千億米ドル以上を保有するサウジアラビアの通貨局からすでに数百億ドルの資金が流出しているという。もし石油価格の弱勢が続けば、オイルマネー国のソブリンファンドは引き続き世界各地の保有資産を売却し現金化する可能性があるだろう。

アジア通貨危機の際、中国本土経済が力を発揮し世界経済を安定させる効果が見られた。そして今日では、中国経済のペースダウンが世界経済の不確定要因となっており、この変化は中国が国際舞台での影響力が日増しに高まっていることに関連していると言えよう。現在、中国が直面する生産能力過剰問題や、資金流出、通貨安、デフレ圧力増大の脅威、経済下落リスクは、短期間で解消できるものではない。中国は積極的に改革を推進しているものの、改革の道のりは確実に容易では無いため、改革がもたらす痛みが、今後も経済パフォーマンスの足かせとなるだろう。

  テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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