世界の株式市場、来月の反発条件揃うか

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世界の株式市場、来月の反発条件揃うか

[2016年2月25日]

 

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世界の株式市場が継続的な下落に直面している。米国が再利上げを行う可能性はかなり低くなっており、FRBイエレン議長による少し前の公聴会での発言にもこの点が反映されていた。米国の利上げは米ドルへの資金流入を触発し、新興市場国の株や為替に圧力を与えた。再利上げを行わない事で、資金の流れも安定し、新興市場の現状の圧力を緩和できると見られる。しかし、米国の利上げ停止は現地経済に下落圧力があることを反映しているため、世界経済の先行きに対する市場の懸念が深まる可能性があるだろう。また事実上、最近発表の指標で米国経済の弱化リスクが示されている。

米国要因のほか、原油安がまだ底打ちしていないことも継続して市場の懸念材料となっている。ここ20カ月、原油価格は7割もの下落となり、原油市場を安定させるために、サウジアラビア、ロシアなどの産油4カ国が協議し、生産量を1月の水準で維持することが決定された。市場占有率を失いたくないとの思惑から、サウジアラビアとロシアは近年お互いに譲歩できずにいたが、今回合意に至ったことは確実に現状打開の一歩である。また、イランが原油増産凍結を支持した事も市場にサプライズをもたらしている。しかし、サウジアラビアやロシアなどが産油を制限するのみで、またイランもまだ生産量凍結の明確な予定を発表していないことから、原油市場の供給過剰が短期で反転することは難しいと見られ、現時点で原油価格の顕著な上昇は望み難いだろう。

原油安の累積を取り戻すことが難しい中、石油企業がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性に市場の関心が集まっている。ある予想分析によると、欧州の銀行のエネルギー関連企業に対する潜在的貸付損失が270億米ドルに達しているとし、あと僅か数パーセントでも増えれば、欧州の銀行のEPS(1株あたり純利益)はすぐさま2ケタの下落幅を生む可能性がある。石油企業の大規模なデフォルト発生の可能性はまだ低いものの、関連する懸念材料はすでに世界の株式市場を激しく揺さぶってしまっている。

中国本土では3月初めに両会(全国政治協商会議と全国人民代表大会)が開かれ、ECB(欧州中央銀行)も同月に追加緩和を発表すると見られることから、世界の株式市場がこれらを材料視して反発する可能性はあるだろう。事実上、世界の株式市場は今年に入ってからすでに多くの下落幅を累積しているため、短期反発が出ても不思議はないのだが、長期的上昇を回復するには、まずは世界経済が正しい軌道を取り戻さなければならない。

 テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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