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スタッフコラム
[2016年4月27日]
中国本土経済の見通しに変動が続く近頃、本土発表の経済指標では、製造業PMIを含むPPIや貿易収支等がいずれも市場予測より理想的となり、また国際通貨基金(IMF)が中国の経済成長率を6.5%に上方修正した。これを受け、マーケットの中国経済見通しに対する見解は以前より楽観的となっている。3月の指標は確かに中国経済の回復を感じさせるものの、今年の春節が2月であったため、3月の指標が予測を上回った要因は春節後に経済活動が正常を取り戻した事と関係する可能性が否めない。中国経済がすでに短期的に底打ちできたのかを判断するには、まだ二、三カ月間継続した指標が非常に重要となろう。もし指数の好調が数カ月継続すれば、中国経済は安定周期に突入した可能性が高まる。
中国は2020年に全面的な「小康社会」を実現することを目標に、この先数年の経済成長を6.5%以上に維持するとしており、第1四半期の経済成長幅は順調に基準を達成。今年の第1四半期の中国経済は前年比6.7%増で、政府の最低基準6.5%を上回った。近年、中国は積極的に経済の構造改革を推進しており、徐々にサービス業が経済の主要部を構成しつつある。第1四半期に第三次産業がGDPに占める割合は56.9%となっており、第二次産業よりも19.4ポイント高い。また成長幅で見ると、第三次産業の第1四半期は7.6%増で、第一次産業の2.9%および第二次産業の5.8%を上回っている。つまり、中国経済の構造改革はすでに成果が現れ始めており、サービス業が中国の長期的経済成長を主導することになるだろう。
指標改善の恩恵を受け、エネルギー関連銘柄に最近明らかな上昇が見られるものの、生産能力過剰問題は短時間で解決できるものではないため、エネルギー関連銘柄の上昇は短期的な現象になる可能性がある。手を焼く生産能力過剰問題への対処は、やはり改革がキーポイントとなるが、改革の道のりは少しも容易とは言えない。例えば、改革が雇用市場の圧力になったり、銀行の不良債権拡大を誘発する可能性があり、改革に成果が出るかどうかは、政府がそれぞれの利益のバランスを取れるかどうかにかかってくる。改革の道のりが決して平坦ではない以上、中国本土経済の見通しが今後も変動を続ける可能性については予想の範囲内と言えるだろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
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