- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2016年5月12日]
市場で予想されていた日銀による追加利下げや量的緩和拡大が空振りとなり、失望情緒が大幅な円高を誘発している。日銀が様子見の姿勢であることが、金融政策の方向性を変化させる可能性を意味しているかどうかに観察の必要があるだろう。事実上、日銀は非常に長い期間にわたり超量的緩和政策を実施してきたが、現地経済に好転の兆しはまだ見られず、貨幣供給の問題とは関係ないことを物語っている。日本経済は構造問題に直面しており、流動性を高める方法で構造問題を解決することはできないため、徹底して改革を推進するしか、経済が難局を脱する望みはない。絶えず流動性を高めるよりも、日本政府は企業へ昇給を強制し、同時に政府から補助金を提供して、賃金労働者層の消費を促すこと考慮したほうが良いのではないだろうか。
高齢化社会は現在日本経済の最も重要な構造問題であり、総人口に占める高齢者の割合が増加すると経済活力が失われてしまう。短期間で高齢化問題を解決するには、日本政府は移民政策を開放し、資金引き入れの備えや技術保有者の移住受け入れの備えを検討すべきだろう。しかし、日本は単一民族性の極めて強い国であるため、移民政策の開放は口で言うほど容易ではない。当然、日本政府は少子化対策で民衆に次世代出産を奨励してゆくだろうが、出産の主導権はあくまで民衆の手に委ねられているため、少子化対策だけを頼りに高齢化問題を解決しようとしても、やや受動的とならざるをえない。
マイナス金利及び超量的緩和政策が行われる中、当然円安となるはずだが、近月の動きを見ると、円安どころか著しい円高傾向となっている。日本円はリスク回避通貨であり、円高傾向は日銀の政策が市場へ信頼感を与えられていない事を反映している。マイナス金利政策の実施後、日本経済に好転の兆しはまだ見られず、多くの人が日銀の手詰まりを疑っている。民衆が日銀に対する信頼感を失うにつれ、この先さらに円高が進む可能性がある。日本円はキャリー取引の代表通貨であるため、円高は世界の株式市場に圧力をもたらす事になる。中でも、日本の株式市場が受けるダメージはもっとも顕著となろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
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