- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2016年6月8日]
英国は6月23日にEU離脱の是非を問う国民投票を控えており、国民投票の結果がどうなるのか、世界の金融市場が注目している。英国は世界第5位の経済大国であり、もし「EU離脱」となれば、その影響は英国経済だけにとどまらず、世界の金融市場にも変動を起こす恐れがある。国民から「EU残留」の支持を得るため、英国財務省および財務相はそれぞれ英国が「EU離脱」となった場合の想定を発表。財務省は英ポンドが12%下落すると予想し、財務相は英国経済が1年近く衰退に陥る恐れを警告した。「EU離脱」支持派の人々も当然弱みは見せられず、「EU離脱」によって英国経済が10年内に4%成長が見込め、EU関税制度が無くなる事で物価が8%下がると予測する経済学者もいる。そのほか「EU離脱」によって長らく苦悩してきた英国の移民問題を解決する後押しになるとする分析もある。
英国は国際政治的にも重要な国家の一つであり、これまでずっと米国とEUの間で橋渡しの効果を発揮してきた。「EU離脱」はEUにおける英国の影響力を弱めることになり、橋渡しの役割が薄まるにつれ、米国は英国に頼ってEUとの関係を繋ぎ止める必要がなくなり、その結果英国が疎外される恐れが出てくるだろう。英国が積極的に中国との関係構築に努めているところを見ると、英国は「EU離脱」が誘発する恐れのある「疎外の危機」に対し、十分な備えをしたい考えのようだ。
近年の欧州は実に多難だ。債務問題をはじめ、テロの脅威や難民問題などが発展の足かせとなっており、EU残留となれば困難な現状を更に解決困難にさせてしまう可能性は目に見えている。このため、一部のEU構成国の国民は英国で行われる「EU離脱」の国民投票が効果を生む事を期待している。ある機関がドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデンなどを含む8つのEU加盟国で6千人あまりに調査を行い、国民投票で残留を望むとの回答が4割半で、もし投票できるなら3分の1が「EU離脱」を選ぶと回答した。上述の結果はEU加盟国に「EU離脱」の風潮が満ち溢れている事を物語っており、もし実際に英国が「EU離脱」となれば、この風潮がますます激化する恐れがあるだろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
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