多くの要因が影響する米金利動向

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多くの要因が影響する米金利動向

[2017年1月23日]

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まる一年待ち、米FRBは昨年最後のFOMCにおいて、ようやく0.25%の利上げを決定した。米利上げに対し、市場では十分な心理的準備ができていたため、今回の利上げによる金融市場への重大な影響は出なかった。会合後の声明や議事録をもとに、市場では今年3回の米利上げに期待を寄せている。2015年12月の利上げ後、市場では米国が昨年4回の利上げ実施を予測していた。しかしながら、最終的にはたった1回の利上げにとどまった。今年の利上げ回数も最終的には予想を下回るものとなろう。実際には、米金利の動向に影響する要素はかなり多く存在しており、現段階で年間を通じた利上げ回数を断定予想するには時期尚早と言えよう。

利上げ予想のもとでは、米ドルは通貨高となり、米ドル高が続くと企業の競争力が損なわれ、深刻な場合は企業収益にもダメージを与えてしまう。簡単に言えば、もし米ドル高が企業収益を圧迫するのであれば、米金利が正常化へ進むペースは予想よりも遅くなろう。またインフレも金利動向を決定付けるもう一つの重要な要因だ。大統領選挙期間中、トランプ氏は当選後に減税とインフラ建設による景気刺激を行うと表明し、保護主義の提案も行った。この主張により、市場は米国のインフレ圧力が強くなると感じさせられた。しかし、もしトランプ氏が大統領就任後に上述の約束を忠実に行わないのであれば、米国が直面するインフレ圧力は予想よりも小さくなり、利上げの緊急性も下がるであろう。

金融危機の後、世界的な超低金利時代となった。低金利と量的緩和政策により、債券価格はひたすら上昇することとなった。トランプ氏の大統領選勝利に伴い、インフレ懸念によって、債券市場は急落を繰り返している。低金利環境が巨大な債券市場バブルを作り出していたのだ。利上げの加速は債券市場においてバブル崩壊の可能性を増加させることになる。債券市場の拙速すぎる調整が金融危機を引き起こさないよう、利上げ決定前に、米FRBはまず債券市場の負担能力を考慮するだろう。この他、今年は欧州の多くの国々で総選挙が予定されており、その選挙結果によって金融市場はすぐに混乱を引き起こすとみられ、こういった国際情勢の変化もまた、米FRBの金利決定を左右することとなろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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