3月米利上げなら金融市場混乱の可能性

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3月米利上げなら金融市場混乱の可能性

[2017年3月8日]

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トランプ氏の大統領選勝利後、米国株は最高値更新が続いており、米国の経済政策が経済成長を刺激し、株式市場に引き続き活力をもたらすことができると期待されている。米国株のPER(株価収益率)は19倍に達しているものの、世界トップクラスの株式投資家であるウォーレン・バフェット氏はなおも米国株式市場の見通しは楽観的であり、米国株は最終的10万ポイント付近まで上昇し得ると発言している。しかし、どのタイミングで10万ポイント近くまで上昇できるかについては言及していない。米国株を楽観的に見ると同時に、バフェット氏は利上げがリスクの一つとなる可能性についても、投資家に注意を呼びかけている。バフェット氏の超強気発言に対し、米国株式市場の反応は小さく、今のところ投資家たちがバフェット氏の発言に左右されて非合理的な投機をしていないことが反映されている。

米国株相場が10万ポイント近くまで上昇できるかどうかについて、筆者自身は推測しようもないが、確かなことは、米国金利の動向が投資マーケットの今後のパフォーマンスに影響するということだ。米FRBのナンバー3にあたる人物によるタカ派発言で利上げ予測が高まっており、最新の金利先物は、FRBが3月に利上げを行う可能性が6割を超えることを示している。年初めに、マーケットでは米国の利上げが今年3回行われ、初回が6月であろうと予想していた。しかし、初回の利上げが3月に早まれば、年内の利上げが4回へ増えて予測よりも速い利上げペースとなる可能性が出てきてしまい、世界的な資産の配置換えを引き起こすかもしれない。その際には、マーケットに大幅変動が起こる恐れがあるだろう。

雇用市場の現況をみると、米国が3月に利上げを行う条件が確かに揃っている。しかし、先だって発表された議事録が示すところでは、利上げ決定時に、雇用とインフレ状況を踏まえるほか、FRBはトランプ氏の経済政策が米国経済にどのような影響を与えるのかも考慮するとしている。トランプ氏の政策がいかに米国経済に影響するかは短期間では見極められないため、米国経済がトランプ政権下でどのような変化があるのか、より多くの時間をかけて観察するために、FRBは3月に利上げを実施しない可能性もあろう。また、イギリスは3月末にEU離脱プログラムの開始を計画しており、欧州の多くの国々で総選挙が行われることから、欧州からの不確定要因も米利上げ実施スケジュールに影響を与えることとなろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。

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