孤立する米国、勢いづく中国

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孤立する米国、勢いづく中国

[2017年7月18日]

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大統領選に出馬し、当選、そして政権を執る現在まで、トランプ大統領の発言はひたすら国際的な関心を集めてきた。トランプ氏が外国の元首と会見する際の「握手」の挙動すらもお茶の間の話題となった。「握手」議論を引き起こしたほか、トランプ氏は常に傲慢な態度で諸外国の元首と会見し、国際社会の議論を呼んでいる。トランプ氏の態度は彼が大企業経営者をやり慣れてきたことと関連があるかもしれない。

トランプ氏は「アメリカ・ファースト」を国策とし、彼の執政以来、米国は自国が率先して設立したTPPやパリ協定から相次いで脱退した。そのほか、トランプ氏はドイツ・メルケル首相の難民政策を度々批判している。先だって、メルケル氏とトランプ氏はG7で会談し、双方物別れとなった。メルケル氏は欧州が米英に2度と頼ることは無いだろうとも発言しており、ドイツと米国の関係の更なる亀裂が浮き彫りとなった。

1月20日の就任以来、トランプ氏率いる米国はひたすら孤立の方向へと進んでいる。トランプ氏が政策変更をしなければ、米国内のトランプ氏への不満の声は拡大するばかりとなろう。グローバル化と反グローバル化が大きな力で衝突するなか、米国社会では更なる亀裂が進むと見られる。視線を他へずらす為、例えば北朝鮮のミサイル実験のように、トランプ氏が他国へ矛先を向ける可能性に要注目だ。米国はグローバル大国であるため、米国の一挙一動が世界の政治・経済の行方を直接的に左右することとなる。

中国としては、米国とその他の世界の主要国家との関係悪化は、リスクの中のチャンスとなる。このリスクとは、中国が米国の孤立により引き起こされる各種の政治的・経済的な挑戦である。そしてチャンスとは、米国の孤立を好機に国際社会での影響力を増やせることである。パリ協定を例にとると、米国脱退後、中国は世界の排出削減の面で更なる負担を負うこととなる。また、米国が退出したTPPを例にすると、中国は「一帯一路」とアジアインフラ投資銀行をリーダー国の地位を利用して、関連国家を取り込むことができるだろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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