分離主義加熱がEU安定に影響か

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

分離主義加熱がEU安定に影響か

[2017年11月13日]

 

ここ数週間、カタルーニャ独立危機が欧州の焦点になっている。カタルーニャ独立の醸成が要因となってイタリア、フランス、イギリスなどEU圏内で分離主義が過熱しているためだ。少し前には、イタリア北部の自治区で自治権拡大を図った住民投票が実施され、住民投票の結果が自治権拡大支持側の勝利となったことから、この投票結果が来年の総選挙に影響を及ぼす可能性がある。分離主義の加熱にしたがって、ユーロ圏でより多くの独立もしくは自治権拡大を図る住民投票が実施されることが予想され、EUが長期的に分裂の可能性があるかどうか、注目すべきとなろう。

EU創設の目的は、単一共同体を創設することで欧州を団結し、欧州の政治および経済が国際舞台でより大きな発言権を得ることを望むものであった。時が経ち、例えばイギリス、ドイツ、フランスなどの大国は欧州一体化における最大の受益者になったと言える。対して、EU内の小国の利益は軽微なもので、被害者になってしまった国さえある。欧州債務危機や近年の難民問題で強弱国間の矛盾と決裂が激化し、ポピュリズムと独立主義を急速に加熱させている。

イギリスとEUは苦しい「EU離脱」交渉を進めており、その他の構成国に知らしめるべく、「EU離脱」には高い代償が必要となるため、交渉上において、EU側が譲歩する可能性は低い。最新の予想によると、イギリスに4割の可能性で「強行離脱」するとしている。EU構成国は「EU離脱」の代価に怯えて気安く「EU離脱」を選ぶことはないだろうが、残留を余儀なくされることが果たしてEUにとっての幸せなのだろうか?すべての国の政治情勢が同一ではないため、EU設立自体が基礎の弱いものであったのだ。EU構成国が共に団結するには、ただただ共通点を認め合い相違点は棚上げし、大きな影響を与える政策を制定する際、強国は弱国の利益を必ず考慮すべきであろう。だが、政治からの人間は多くが目先のことばかりで、常々自身の利益が何よりも大きく、EUの長期団結は容易にはいかないだろう。

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。