住宅ローン引締めの香港不動産への影響は軽微

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住宅ローン引締めの香港不動産への影響は軽微

[2017年11月20日]

 

香港の不動産価格上昇が止まらず、中国本土の不動産デベロッパーが我先にと来港するため、土地価格もずるずると上昇している。日増しに高まるリスクに直面し、香港の金融管理局は相次いで措置をとっており、最近では銀行の不動産業に対するローン引き締めを宣言した。新しい措置のもとで、銀行から不動産業への貸出割合は、土地価格及び建築コストの5割および10割までであったところ、それぞれ4割および8割までに引き下げられた。借り入れ割合が下がるにつれ、不動産業の経営コストは上昇せざるをえず、中でも香港中小不動産業者および中国本土の不動産業者がこうむる影響は比較的大きいと言えよう。

アジア金融危機の後、香港の不動産業は財政改善に力を尽くしてきた。今日では、財務状況は概ね健康な水準となり、とりわけ大型不動産業が良好だ。それゆえに、金融管理局の最新の措置が香港の大型不動産業に及ぼす影響は非常に有限であると言える。比べてみると、財政資源が大型不動産業におよばない中小型不動産業の方がより大きな影響を受けるだろう。

債務状況の面では、中国本土不動産業は一般的に負債が多めで、業務レバレッジの水準が比較的高い。中国・香港で続々と金融規制が強化されていけば、中国本土の不動産業の財政負担が上昇して、財政負担の悪化から今後香港の建築用地の入札の際にこれまでのような積極性が失われてしまう可能性もあろう。しかし、たとえ中国本土の不動産業者が今後積極的に入札しなくなったとしても、土地価格が明らかに反落することを意味するわけではない。なぜなら香港の不動産市場のメリットとなる要因が依然として存在するためだ。香港の不動産業者からしてみると、中国本土の不動産業者からもう積極的に土地を「奪取」されることがないというのは好材料となるなのだ。

ここ数年、政府と金融管理局は何度も施策を打ち出し不動産市場の過熱抑制を試みてきたが、その結果、不動産価格の上昇は止まっていない。不動産市場が冷却できない理由は、低金利の継続と資金の氾濫情況にまだ変化がないことが関連している。これから来年末にかけて、米国は4回の利上げを行う可能性があり、市場では香港が早くて来年開けの利上げを行うと予想している。ひとたび香港が利上げとなれば、香港の不動産市場は曲がり角に歩み入る可能性があろう。

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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