「米国ファースト」政策が招く世界的混乱

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

「米国ファースト」政策が招く世界的混乱

[2018年7月3日]

米国が500億米ドルに及ぶ中国製品に対する関税リストを発表して以来、米中の貿易関係は急速に悪化しており、中国と香港の株式市場も勢いを失っている。米国の関税リスト公表後、中国政府は速やかに対応し、同等規模の報復措置を発表。中国政府の報復措置に対し、米国は2,000億米ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する追加関税の徴収を発表。もし中国がさらに報復措置を行うならば、課税対象商品金額を増やすと併せて警告した。米国側によると、最終的に中国からの輸入4,500億米ドルに対し、追加関税を課す可能性がある。中国と米国における現在の年間貿易金額から判断すると、4,500億米ドルの中国製品に関税を課すことは現実的ではない。

最終的にどれほどの品目に関税が課されるかに関わらず、貿易戦争下では、中国と米国はともに敗者である。代用品を容易に見つけることが出来なければ、両国の国民は高い買い物を強いられることになる。貿易戦争の悪影響の1つは価格高騰であり、もし、インフレが過熱すれば、米FRB(連邦準備制度理事会)は利上げペースを加速する可能性がある。利上げペースが予想を上回る場合、米国経済は圧力を受け、米国がスタグフレーションリスクを負うことになりえよう。米中貿易問題を取扱う米国の当局者はまとまっておらず、貿易戦争に賛成するもの、強硬な姿勢をとるべきとするものもいると報道されている。ハト派の当局者は、7月6日までに中国政府との更なる貿易交渉の実施を望んでいる。中国と米国が貿易戦争を回避できるか否かは、間もなくみな分かることになろう。

米国の「保護主義」台頭は、トランプの「米国ファースト」政策に由来している。「米国ファースト」政策により国民の期待をトランプにもたらしたが、米国と諸外国との友好関係を失うこととなった。中国以外に、欧州連合(EU)、カナダ、日本といった以前からの同盟国の怒りをかっている。現状のままつき進めば、世界的な政治・経済情勢の転換が余儀なくされ、その中で、中国はEUと更に緊密な関係を構築することになり、米国はさらに孤立していくことになる。

国際情勢だけでなく、中国の経済成長の方向性も変化する可能性がある。ZTE問題では、ハイテク産業の発展においては、海外に過度な依存は出来ず、自給自足が生き残る道であると、中国に認識させることになった。このため、中国は将来的に資源の再配分を行い、ハイテク産業への投資をさらに増加させる可能性がある。もちろん、中国のハイテク産業が短期間で米国の水準に追いつこうとする間も、米国勢も発展を継続させ、中国が2025年までに世界の製造強国入りを果たそうと目標をかかげる「2025年計画」の実現を阻止してくるであろう。米中関係が緩和されなければ、米中競争は、世界的に好ましいものとはならず、世界の金融市場を大きく変動させる可能性があろう。

 

 

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員(SFC:Securities and Futures Commission)のType1,4,9のライセンスを取得している数少ないファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局(MPFA:Mandatory Provident Fund Schemes Authority)の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局(IA:Insurance Authority)に正式登録されているライセンス保有代理店です。