- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2018年10月3日]
今年9月でリーマンショックから10年となった。当時リーマンブラザーズの経営破綻が金融市場の崩壊を招いたことは、投資家にとって今なお記憶に新しいのではないだろうか。過去10年間で世界経済は底を打ったが、金融市場はまだ次から次へと困難に直面している。リーマンショックの発生源は高レバレッジの運用手法であったが、10年が経ち、世界の債務水準は当時に比べてさらに高くなっており、債務問題は既に世界経済の時限爆弾となっている。
米ドル金利の上昇に伴い、米ドル建て債券を発行した企業の債務負担が増えており、新興国企業が受ける影響は比較的大きい。米国では今年年末までと来年において、それぞれ2回と3回の利上げが予想されている。金利上昇のペースに変わりがないとすると、米ドル建て債券を発行した企業は更に大きな負担を負わなければならない。
タイ、ロシア、アルゼンチン、トルコ、南アフリカの対外債務は、それぞれ外貨準備高の427%、2,415%、1,493%、563.7%、425.4%となっており、米国の利上げはこれらの国々に大きな圧力をもたらす。幸運なことに、上記の国々は異なる地域に位置しており、相関性は高くなく、全面的に金融混乱が勃発するリスクはまだ低い。しかし、同じ地域に財政問題を抱える国が増えていくと、金融混乱のリスクが呼応して高まることとなる。
新興市場が現在直面する投げ売りの流れが10年来で最長となっており、その下げの期間が悲観的予想を上回っていることを示す統計データもある。さらに、新興市場の転換社債はいずれも閑散相場的に下落しており、長期的な続落によって多くの資金がロックされている。利上げサイクルが予想よりも短くなければ、新興国市場からの資本引上げの流れは継続するだろう。米国連邦準備制度理事会(FRB)の今後の発表には注意が必要で、もしFRBから利率がすでにニュートラルなレベルに近づいたとの発表が出れば、それは利上げサイクルが収束しつつあることを意味し、新興国市場からの資本引上げの流れは止まるだろう。現在の利上げペースから推測すると、新興国市場が現在受けている圧力は少なくともあと2四半期は続くと見られる。
債務問題に加えて、景気減速は金融市場における将来的な潜在的危機の一つとなる。中米の貿易戦争は本格化しており、中米が争う中で世界経済は必然的に影響を受ける。各主要マーケットにおいて、米国株は高水準にあり、米国株の現在の評価額は低くない。高い評価は米国株式の回復力を弱めることとなり、ひとたび米国経済成長がペースダウンすれば、米国株は急落する可能性がある。米国株の大幅下落は、世界の株式市場のパフォーマンスを必ず引き下げることになる。投資マーケットでは、「強い株は最後には下落する」と言われることが多い。おそらく米国株が大きく下落する際に、中国・香港株式市場の下落はようやく終わりを迎えることができよう。
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