- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2019年3月29日]
中国本土ならびに香港の株式市場における第1四半期のパフォーマンスは好調となり、中でも中国本土の株式市場の上昇幅は世界でも抜きん出ている。株式市場は良いムードであるものの、世界的にファンダメンタルズが悪化しており、第2四半期の株式市場がより高値圏へ上昇できるかどうかは疑問である。
先だって、ECB(欧州中央銀行)は秋季に新たな長期リファイナンスオペ(TLTRO)を実施すると宣言し、同時に現在の金利を年末まで維持するとしたことから、欧州経済の先行きが悲観的であることが示されている。事実上、欧州の多くの国の経済が昨年第4四半期からすでに弱化に転じており、さらなる状況悪化を免れるため、ECBがさらなる金融緩和をするのはもっともだろう。注意すべきは、ユーロ圏の金利はきわめて低水準であり、ECBの買い付けに市場が提供する債券は多くないため、もしさらなる金融緩和でも経済下落を阻止できなかった場合、ECBの有効な政策が手詰まりとなって、金融市場で懸念情緒が出てくる恐れがある。
欧州のほか、中国本土経済で下落圧力がまだ解消できていないことも懸念の一つとなっている。近月、中国政府は相次いで経済刺激策を打ち出しており、減税および手数料引き下げの規模は総額2兆元に達している。そのほか、中国人民銀行(中央銀行)も預金準備率の引き下げによって、銀行から小型企業への貸付増加を支援し経済刺激をはかっている。一連の期待感から、中国A株は急上昇を見せている。A株の今回の急上昇は2015年のバブルの時ほどの高騰には至っていないものの、上海と深センの両株式取引所での出来高は1兆越えとなり、一部の銘柄では200倍以上のPERを叩き出していることから、A株の強勢は明らかにハイペース過ぎる。もしA株の熱い投資ムードが更に加熱した場合、経済が底を脱してない中、A株の再上昇はバブルとなる恐れがある。2015年の教訓から、政府方メディアはすでに株式市場の鎮静化をねらう声明を出している。
最後に言及すべきはもちろん米国だ。近月のデータによると、米国経済には鈍化の兆しが見られ、減税効果の減退およびトランプ氏の政策が議会の制約を受けていることから、年内の米国経済はさらにペースダウンする可能性がある。事実上、米FRB(連邦準備制度理事会)は利上げを一時停止し、米国経済にはすでに弱化リスクがあるとのべている。ほかの基軸通貨と比較すると米ドルの利息差益は優勢であるため、キャリートレードの動きが米ドル高をサポートしており、米ドル高は株式市場に対し、特に新国興市場にマイナス影響をもたらしている。
今期における株式市場の圧力増加を受けて、投資家は比較的保守的な策略をとるべきとなるが、もし第1四半期ですでにある程度の利益を記録できているならば、まずは利益確定をしておくべきだ。セクター別では、ディフェンシブ銘柄を引き続き要観察。米10年債利回りが2.4%まで下がっているため、ディフェンシブ銘柄を選ぶ場合、投資家はまず少なくとも利回りが4%に達する銘柄を考慮すべきとなる。テクニカル分析上、昨年12月の高値27,260ポイントが重要支持線となり、もしこれ以上の水準を維持できなければ、香港の株式市場における近月の上昇トレンドは破壊され、その後第3段階のベア相場に突入するリスクが高まるだろう。
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