- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2014年8月19日]
中国7月対外輸出は14.5%増と急成長し、市場予想の7.5%増を遥かに上回った。しかし輸入は1.6%減となり、市場予想を下回っている。輸出の拡大は周辺国経済の継続的な回復が反映しており、輸入の下落は中国の対外需要の弱化を表している。過去数カ月、米非農業雇用者数の増加は毎月20万人を上回り、現地の雇用市場の持続的な好転が反映されていることから、米国が牽引する中、中国本土の輸出はこの先数カ月拡大を維持できる見通しだ。最近ではロシアと西側諸国が互いに制裁措置を展開しており、関係が悪化するにつれ、ロシアおよび西側諸国は中国をチョイスしてより多くの商品を輸入する可能性があるため、今後の中国本土の輸出業績を下支えると見られる。
輸入面では、在庫要因による制限を受けるため、この先数カ月の輸入データで顕著な回復が見られる事は無いだろう。中国本土では今なお多くの原材料が過剰在庫として問題となっており、経済成長の近年のペースダウンが問題解決を先送りさせている。在庫過剰な状況を改善させる前に、中国は基本的に外国から大量に原材料を輸入するべきでは無いだろう。在庫要因のほか、中国では汚職撲滅のため厳しい取締りを実施しており、改革を深める過程で経済変動等が誘発されると見られ、こうした要因も外国からの商品購入に影響を及ぼすであろう。「強い輸出、弱い輸入」の状況下で、この先数カ月においても中国は巨大な貿易黒字を維持すると見られ、「人民元切り上げ」の圧力が高まるだろう。
このほか、中国7月のインフレ率は6月と同じく2.3%に。過去数カ月、中国本土は洪水や台風などの自然災害にみまわれておらず、もし現状を維持できれば、国内食品価格の安定維持が見込めるため、インフレ率全体に影響して安定維持できると見られる。インフレ圧力がまだ激化していない状況で、中国人民銀行(中央銀行)による更なる金融緩和や、ひいては預金準備金率の引き下げを期待する声もある。李克強首相は一貫して措置の微調整による経済コントロールを強調しているため、たとえ国内にインフレ問題が無かろうと、人民銀行が全面的に預金準備金率を引き下げる可能性は低いだろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
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