原油価格低下でロシアは利益減か

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

原油価格低下でロシアは利益減か

[2014年10月27日]

pic1

近月、原油価格の下落が顕著となっており、世界的な需要低下を要因とした原油価格下落が懸念される。事実上、米国を除いて、欧州、日本、中国等のエリアでは経済状況がいずれも思わしくなく、世界経済が圧力を受ける状況では、原油価格の下落も必然と言えよう。需要要因は原油価格の相場を左右する主要因となりうるが、原油価格下落の背景には更に複雑な政治的要因が関係している可能性がある。今年に入ってから、世界の多くの国で情勢が緊迫していおり、これまでの経験上、地政学的リスクが高まる際に原油価格は当然上昇してきた。しかし、今年の原油価格相場を見ていると、地政学的リスクは今のところ原油価格の上昇に影響を与えていない。なぜ地政学的リスクは原油価格を押し上げていないのだろうか?

ウクライナ情勢が不安定となってから、米露関係は緊迫し、双方が制裁を加え合っている。これまでずっと米露はお互いを「目の敵」にしてきたため、ウクライナ問題は、米国がロシアへダメージを与える格好の機会となっているものの、直接的で露骨な制裁を行えば必然的にロシアからの反撃を受ける事になってしまう。この点を踏まえると、米国が目立たぬ手段でロシアにダメージを与える可能性も大いにある。ロシアの天然資源の埋蔵量は大きく、国家収益は石油と天然ガスの輸出への依存度が極めて高い。ロシア経済に打撃を与えるべく、国際的な原油価格の低下を促し、ロシアの収入を減少させるのも一つの方法だろう。

科学技術の発達で、米国は近年強力にシェールガス産業を発展させており、石油純輸出国になることを狙っている。世界のエネルギー市場における米国の影響力が高まるにつれ、米国は原油価格の低下によりロシア経済に損失を与える事はさほど難しくない。米国にとって、原油価格の下落によってロシアにダメージを与えることは、同時に米国経済のメリットにもなるのだ。米国に加え、欧州、日本、中国等も同様に原油価格下落による恩恵を受けられるだろう。原油価格は急落しているものの、サウジアラビア等の産油国は、価格下落を食い止めるための産油量削減にはまだ踏み切っておらず、この動きは実質的に米国に協力してロシアを攻撃していると言えよう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。