- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2017年9月13日]
先日行われたジャクソンホール会議において、イエレン米FRB議長は金融政策について言及せず、そのスピーチの内容は主に金融規制についてであった。彼女の指摘によると、金融規制が大きく緩和されており、金融危機が再び起きる可能性があるとしている。実際に2008年の金融危機の発生は、一部要因として厳しさが充分ではなかった金融規制が関連している。近年は、アメリカの金融企業から金融規制緩和を求める声が徐々に大きくなっている。トランプ大統領も、金融規制緩和を政策の一部分としており、イエレン氏の主張は、金融企業とトランプ大統領に対し、金融規制緩和がもたらしうる後遺症について軽視しないよう促しているようである。
イエレン氏の呼びかけは彼女のFRB議長再任にどのような影響を及ぼすのかは知る由もない。しかし、彼女の主張は、確かに善意からの忠告であり、金融危機の再来を防ぐ為には、規制がみだりに緩和されてはいけない。もちろん、縛りすぎる規制もまた必要ではない。なぜなら、規制の過度な強化は金融業の成長余地を妨げ、経済生産全体にマイナス影響を生みだすからだ。どうあれ、最も重要なのは金融の発展と規制の間でバランスをとることである。もし、イエレン氏がFRB議長再任とならなかった場合、次のFRB議長がどのように金融規制を見るかが、この先のマーケットの焦点となる。
金融規制だけではなく、米政策金利の動向も注目を集めている。この頃、FRB内の委員の間で、年末の利上げについて意見が分かれている。ある委員はインフレ目標達成までは利上げすべきではないとみており、また、インフレ目標達成が遅いのは経済が落ち込む前兆であり、経済の見通しが不明なままでは、利上げの必要性がないとみている委員もいる。正常時では、経済がプラスのシグナルを放ち続けて、ようやく利上げが実行できる。もし、年末に利上げが行わなければ、米国経済に問題が生じている可能性を理由にして投資家が株式を売却するかもしれない。もちろん、株式市場にとってはアメリカの利上げペース減速が、好材料となる可能性もある。このように、アメリカが年末に利上げを行うかどうかで、いつでも世界の金融マーケットに変動を引き起こす可能性がある。利上げの可能性が下がりつつある以上、米ドル安の流れは維持されるであろう。
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