雇用情況は香港不動産市場に大きく影響か

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雇用情況は香港不動産市場に大きく影響か

[2015年10月15日]

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最近、香港では新築物件のデポジット没収での売約キャンセルや、中古物件所有者が原価割れで売却を希望している等の情報が後を絶たない。不動産市場はすでにピークを過ぎ、明らかな調整期に入るのは時間の問題であるとする分析結果も見られる。筆者は不動産市場がすでに重要な分岐点を迎えていると見ており、現在はただ媒体を欠いているだけで、条件さえ満たしてしまえば、不動産市場はもう調整周期に突入する運命から逃れられないだろう。この先、大きく2つの要因が不動産市場に影響を与えることが考えられる。まず第一に、米国の利上げの方向性、そして第二に、香港の雇用情況が挙げられる。超低金利環境の中で、近年の不動産価格は虹のごとく上昇してきたが、ひとたび利上げが確定すれば、不動産市場は一気に様子見の情緒が色濃くなり、近年売り手市場であった相場が逆転する可能性がある。

政策金利に比べ、雇用情況が不動産市場へ与える影響の方がより重要だ。1980年代に、住宅ローン金利が20%を上回ったことがある。しかし当時香港はまさに飛躍的な経済成長を迎え、給与水準が急増していたため、住宅ローン金利が高水準であれ、不動産市場ではさほど大きな圧力は見られなかった。現状を振り返ってみると、住宅ローン金利は低いものの、昇給幅は20~30年前の香港とは比べ物にならないほど低い。万一、雇用市場が悪化すれば、わずかな利上げとなったとしても、不動産市場に深めの調整をもたらす可能性が十分にある。

世界経済の成長ペースが減速する中、輸出主導型経済に属する香港は否応無く圧力を受ける。中国本土から香港への旅行客も減少し、加えて香港ドルも高くなり、香港の小売業界は今まさに「極寒期」にある。小売業だけでなく、今後は貿易、金融、不動産仲介などの業界でも経営状況が悪化する可能性がある。慣例でいくと、企業はまず自然流失による従業員減少をねらい、それでも経営状況に改善が見られなければ、リストラ実施となる。一般的に、企業は最盛期後に減員するため、つまりは、経済が好転しない限り、来年第1四半期から企業がリストラに踏み切る可能性が高いと言える。雇用の先行きに自信を失う人々が多くなるにつれ、不動産へのニーズは冷え込むため、不動産市場はしばしばこういった情況で調整期に突入するのだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。) 

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