香港での裏口上場が近道に

- テンガードホールディングスリミテッド

トップページ » スタッフコラム » 

スタッフコラム

香港での裏口上場が近道に

[2015年11月5日]

1

近年、多くの中国本土企業が香港で裏口上場を行っていることで、裏口上場の条件に合致する銘柄が、投資家から人気の投機対象となっている。これほど多くの企業が香港での裏口上場を選ぶ理由について、筆者は、上場スポンサー管理制度の引締めや、中国当局によるIPO停止措置の可能性および香港市場の裏口上場が割安であることが関係していると見ている。多くの企業で上場後に相次ぎ不正会計が発覚した経緯から、管理当局はスポンサー管理制度の引締めを行った。刑事責任を負う可能性低下が目的であるものの、小規模なIPOよりも、むしろ協力企業との裏口上場を選択したいと考える投資銀行も存在している。このように上述の変化は、裏口上場のニーズを大きく増加させてしまっているのだ。

中国本土では、管理当局がこれまで頻繁に市況に応じてIPOを停止させているため、上場スケジュールが乱されないよう、中国本土企業の多くが香港市場での上場へ切り替えており、そこに加えて裏口上場することがまさに近道となっている。また、もしA株市場で裏口上場する場合はややもすると20億元かかることもあるが、香港市場の場合、メインボードであれば5~6億元程度、創業板(新興企業向け株式市場/ベンチャー・ボード/GEM)であれば更に少なく2~3億元程度で済むため、香港株式市場が中国本土企業の裏口上場の根拠地となるのもうなずけよう。

香港の現行の条例によると、企業はある一定の売上高があれば、たとえ利益が無いような状態でも創業板への上場を申請することができる。創業板への多くの裏口上場を見ていると、売上高の条件を満たしていない企業が上場していることも少なくない。裏口上場の成功後も、企業の主要株主は1~2億元は得られる見通しが強いため、利益のあがらない事業が続いたとしても、創業板などでの裏口上場は確実にメリットがあるのだ。

利益条件を満たしていないことに加え、創業板のもう一つの特徴として、企業が第三者割当増資の方法での上場が可能となっており、割り当ての大口投資家にビッグマネーの好機をもたらす。第三者割当増資の仕組みの下では、一般的に百名ほどの投資家しか割り当てが受けられず、発行株数が限定されている事から、大口投資家たちは簡単に株価を数倍から数十倍へ吊り上げることだ可能だ。急騰後は、この種の銘柄は大幅に利食い売りされる可能性が高く、一日の下落幅が8~9割に達することも有り得るため、第三者割当増資で上場した銘柄に投資するリスクは極めて高いことが明らかだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。) 

Share on LinkedIn
Pocket

お知らせ

  • テンガードからのお知らせ
  • スタッフコラム
  • 株式市場関連
  • よくあるご質問
ダイヤモンド社発行『ダイヤモンドQキュー』にてテンガードが紹介されました!

証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。

香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。

香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。