米中貿易紛争、90日以内での解決は困難

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米中貿易紛争、90日以内での解決は困難

[2019年1月4日]

G20の際にアメリカ・中国のトップ会談が行われ、2時間以上の交渉の末、双方は更なる関税引上げを一時停止することに合意した。しかし、90日以内に合意に達しなかった場合、米国は中国への課税を拡大する。アメリカ中間選挙が既に終了し、加えて、アメリカ経済に景気減速の様子がうかがえることから、現時点でトランプ氏の中国に対する態度が和らいだことは驚くことではない。だが、政治的、経済的な状況がクリアになってくれば、米国の中国に対する態度は再び厳しくなってくるであろう。

さらに、G20での中国と米国の会合は首脳会談レベルの会合と言える。トップリーダーでさえ結論を出せないのであれば、誰が貿易紛争を解決できるだろうか。今後、交渉が行き詰まることを避ける為、トランプ・習近平会談においていくつかのコンセンサスをまず得ておこうというのは理解できる段取りではある。

表面的には中国と米国の緊張関係はトランプ・習近平会談の後、わずかに和らいだ。しかし実際には、米中関係の見通しは依然として不明確であり、その理由は中国締めつけが米国の国家政策だからである。さらにトランプ氏の態度は常に変化しており、米国が中国を容易に解放するかどうかは注目に値する。言い換えれば、米国が中国との協議に90日という時間をかけているのは引き延ばし策であるという可能性が否めない。

米国にとって、実際のところ中国製品へ関税を課すことは必須となっている。米国は多額の負債を抱える国であり、財政赤字に陥ることが多く、減税後はさらに深刻な状況となるため、中国からの輸入品に対する関税導入は米国にとって追加収入をもたらすことができる。米中首脳会談前に、トランプ氏は米中が貿易協議で合意することを願ってはいないと語っており、これはすでに米国財務省が何十億ドルもの収入を得ていることによるものだ。

中米貿易紛争の中核的な問題は貿易赤字ではなく、中国企業が常々権利を侵害することや買収中に技術移転を強制することが最も不満な点となっており、中国のWTO加盟以降、未だに市場を完全に開放していないことも問題点となっている。 知的財産権および技術移転に関する問題は、貿易の不均衡よりも解決が困難と言えよう。

先だって、米国は科学技術の輸出制限について1か月の協議を行い、米国は同盟国にファーウェイ製品を排除するよう求めたという報告があった。上記のすべてが、米国が中国の科学技術開発の妨害を望んでいることを反映している。米国が科学技術問題において中国を標的とする姿勢を緩和しない限り、米中関係は今後も水面下の攻防が続く可能性が依然として高いだろう。現状からすると、米中貿易紛争がトランプ・習近平会談後90日以内に解決を見せることは困難だろう。

テンガード ファンドマネージメントディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

パトリック・シャム

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