ギリシャ選挙結果を受けユーロに警鐘

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ギリシャ選挙結果を受けユーロに警鐘

[2015年2月4日]

P1ギリシャの総選挙で急進左派連合が勝利し、新首相となったチプラス氏は今後ギリシャの債務減免の要求および緊縮策の見直しをEUに求めると見られ、これらの要求について、ドイツ、イギリスなどの欧州主要国はいずれも強く反発している。ここ数年、資金援助を得るために債務問題を抱える国々では一様に緊縮措置を受け入れてきたが、緊縮措置の受け入れは経済をさらに悪化させ、同時に経済政策上での発言権をも失ってしまうため、近年徐々に多くの民衆が緊縮策に反対するようになってきた。チプラス氏の勝利が反緊縮の民衆が打ち出した増強剤となって、反緊縮の波がさらに蔓延すれば、反緊縮の声が同様に高まるスペインでも政権交代が起きてしまう可能性に市場の注目が集まっている。

世界の金融市場はと言うと、ギリシャがデフォルトに陥る可能性や、ギリシャ経済が崩壊する可能性については重要視しておらず、市場の懸念はあくまでギリシャの政権交代によってユーロの地位が揺らぐかどうかに尽きる。チプラス氏はギリシャにユーロを離脱する考えは無いとしているが、債務支援を再交渉するという事は、ECB(欧州中央銀行)をはじめ、ドイツ、フランス、IMF(国際通貨基金)のこれまでのやり方を全否定する事を意味する。いずれか一方の態度が軟化しなければ、ギリシャのユーロ離脱リスクはいつまでも長引く事になろう。支援を提供する立場からすると、再交渉の受け入れは反緊縮派の完全勝利を意味し、現在緊縮措置を実施するその他の国々に飛び火すれば、ユーロ圏全体に波乱が巻き起こる可能性が懸念されることから、チプラス氏の提案を受け入れることは実に難しいだろう。

ユーロ圏成立時から存在する根本的な問題として、ユーロ構成各国が異なる背景を持つことから、同一の経済政策を実施する事はほぼ不可能であり、折悪しくも欧州債務危機によってこの問題が顕著となってしまった。チプラス氏の当選でユーロ圏に警鐘が打ち鳴らされた事から、ユーロの存続問題が市場の焦点となり、今後ドイツ、ECB、IMFなどがいかに事態を収束させるのかに市場の関心が集まっている。 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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