米国が年内に利上げを行わない可能性も

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米国が年内に利上げを行わない可能性も

[2015年8月12日]

A1直近のFOMC後の声明において、米FRBは利上げ時期についてまだ具体的な説明を行わなかったものの、労働市場に対する見解を上方修正させたことから、市場では早くて9月にも利上げとなるか、9月でなくとも、年末までに一度は利上げが行われる可能性が高いと見られている。米国の年内利上げに対し、投資家たちはとうに心構えができているものの、市場では米国の利上げが世界的な資金の流れにどのような影響を及ぼすのかが注目されている。

利上げ予測によるサポートを受け、米ドルは強勢となり、資金の米ドル流入は商品価格の下落や、米ドル以外の通貨価値の下落を招いており、中でも新興国の通貨価値の下落が最も著しく、金融危機が再燃する可能性を懸念する者もいる。新興国の現在の財政状況から見て、特にアジアの国々など、大規模な金融危機が起こる可能性はまだ低い。しかし、貨幣価値の下落は否応なしに新興国市場の資産価格に圧力をもたらしてしまうだろう。

市場では年内の米利上げの可能性が濃厚と見られているが、きりが無いギリシャ債務問題や、遅々として好転の兆しが見られない中国本土経済など、国際的な要因に左右されている状況下では、FRBはこれらの国際的な要因が安定するまで、無期限に利上げを延期させる可能性があるだろう。混乱が一巡し、ギリシャ問題はしばし安定しているものの、ギリシャ問題を徹底的に解決することは容易ではないと世間に知れ渡ってしまった。もしギリシャで総選挙が前倒しとなれば、次期政府が現行政府と債権者機関の間で成立している合意を反故にする可能性があり、その際にはギリシャ債務問題が再燃することになるだろう。

中国本土に目を向けると、最新発表の製造業PMIでは中国経済が依然として苦境を抜け出していないことが示され、その上少し前のA株暴落もあり、中国本土経済の先行きが懸念されている。中国経済の不調は、欧州や日本などの主要な貿易相手国の経済にとっても重石となってしまい、米国経済にもマイナス影響を及ぼしてしまう。少し前に、米国株はA株急落によって下落した事があり、中国が不安定であることが明らかな中、米国も身勝手な動きはしづらいだろう。国際的な要因が米国経済の発展にマイナス影響を及ぼす限り、米国が年内の利上げを実施しない可能性も無いとは言い切れないのだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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