世界経済の弱勢は避けられずか

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世界経済の弱勢は避けられずか

[2015年9月11日]

A1中国経済の弱勢が続き、新興市場国通貨の大幅安および9月の米利上げの可能性から、世界の株式市場は近頃著しい圧力を受けている。中でも多くの市場が高値から2割以上の反落となり、ベア相場突入の疑いがある。突然の人民元安によって、すでに圧力を受けていた新興市場国の通貨安がさらに触発され、資本流出の激化による新興市場国の金融危機勃発の可能性が懸念されている。またここ数年で新興市場の国々や企業の多くが米ドル建債券を発行しており、通貨安でこれらの債務負担が増大していることから、もし米利上げとなれば、さらに状況が悪化すると見られる。たとえ新興市場国が金融危機を回避できたとしても、通貨安および株式市場の下落が経済の足かせとなるため、新興市場国が経済圧力を受ける中、近年まだ好調と言える米国経済も身勝手な動きをとり難くなっている。

 

苦しい現状に直面する中、各エリアの政府と中央銀行は如何にして市場以外の焦点に対応しているだろうか。株式市場の下落傾向を緩和するべく、台湾では市場救済措置が実施され、また中国本土でも養老ファンドによる株式市場投資を許可したとの報道もあった。株価下落は経済見通しの悪化がもたらすものであるため、盲目的に救済策を実施するのは本末転倒なやり方だ。また、もし政府介入後もまだ下落を止められなかった場合、政府と中央銀行は民衆からの信頼を失うだろう。中国本土では、中央政府が市場救済措置に注力し株式市場を下支えしたものの、株式市場は最終的にマイナス材料に抵抗できず救済措置以前の低水準を下回ったままだ。こういったA株の動きはファンダメンタルズによる支持が不足していることを物語っており、市場救済に力を注いでも株式市場全体の方向を変えることはできないのだ。株式市場を落ち着かせるためには、各エリアの政府と中央銀行はまず先に何としてでも経済を立て直す方法を考えなければならない。

 

新興市場国で最終的に金融危機が勃発するか否かに関わらず、世界の金融市場が近月大幅に変動したことで、十分に世界経済の成長鈍化を引き起こしており、一部の国では更なる衰退に陥る可能性もある。経済下落に悩まされ、企業業績も大局的に悪化となろう。企業業績の先行きが楽観的とは言えない以上、たとえ株式市場が安定しても、反発の伸びしろは非常に限定的だ。現在のような情勢では、投資家はあまりアグレッシブに動くべきではないと言えよう。

 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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