中英協力で双方需要をカバー

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中英協力で双方需要をカバー

[2016年3月4日]

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昨年、中国の習近平国家主席は米国と英国へ相次いで公式訪問した。訪米と較べると、“習大大”こと習近平氏の訪英は明らかにより高いレベルの接待を受けており、英国が中国との関係を非常に重視していることが反映されている。英国は欧州の一部であるものの、欧州単一通貨ユーロを導入しておらず、加えて今年6月にはEU離脱の是非を問う国民投票が行われる予定もあることから、EU離脱による影響力の弱化を回避するため、英国が積極的に中国を丸め込もうとするのは合理的な動きと言えよう。英国は米国の主要同盟国であることから、中英の協力強化は米国の神経を逆なでることになってしまう。しかし、やはり英国は西欧陣営の中でも重要国の一つであるため、疎遠になれない米国は、英国が中国を取り込もうとする動きにあまり不満を出せないところだ。中米の力関係から見て、英国は中国からの方が利益を望めるのだろう。

習近平氏の訪問期間中、中国人民銀行(中央銀行)はロンドンで人民元建て国債を発行。これが中国初となる海外での国債発行となり、ロンドンが国際金融センターの一つであることから、今回の債券発行が人民元の国際化を後押しした形だ。また、人民元の国際化に協力するため、中国銀行(03988)がロンドンで取引センターを設立し、欧州や米国におけるオフショア人民元や外国為替、コモデティ、債券などの取引やオファーをカバーする予定だ。現在、ロンドンは欧州における三大オフショア人民元取引センターの一つとなっており、中英の協力強化によって、オフショア人民元市場でのロンドンの地位を強化できるだろう。

このほか、中英の経済協力を数千億元規模で合意。その範囲として原子力発電、エネルギー、金融、娯楽などが含まれており、中でも中国による英国での原子力発電所建設がやや目に付く。英国は西欧大国となるべく、中国の技術を採用した原子力発電所の建設を希望しており、中国の核技術がすでに認められたものであると物語っている。英国がゴーサインを出したことで、今後、より多くの西欧諸国が中国と協力し核発電所の建設を望む可能性が考えられよう。中国政府による「走出去」(海外進出)政策に沿うよう、中国は、中国核工業集団公司(CNNC)と中国広核集団有限公司(CGN)が各自研究開発し完成した原子力発電技術「華龍一号」の技術を「華龍企業」として整理・統合したうえで、「華龍企業」を通してプロモーションを推進する意向があるようだ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

 

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