英国EU離脱は欧州大再編を誘発か

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英国EU離脱は欧州大再編を誘発か

[2016年7月15日]

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EU離脱」陣営が英国民投票に勝利したことですぐさま現地の先行き不透明感が極度に高まっており、経済圧力を受けることが予想される。ドイツ・フランスの両国にとってEU離脱は自国のメンツが立たないことであるため、両国が今後イギリスを各条項で制限していくと予想され、なんとしても英国で「離脱」を支持した国民にEU離脱を後悔させることになるよう願っていると見られる。経済見通しが立たない中イギリスに本社を置く企業の一部ではイタリア移転の兆しが見られ、金融センターとしてのロンドン地位を奪うことを目的に、ドイツやフランスも関連企業の招致に動く可能性がある。こうして見ると、すでにイギリス経済はEUの主流から取り残されてゆく運命から逃れられないだろう

経済ダメージを受けるほか、「EU離脱イギリスおよびEUの政治面の先行きにも不確定要因をもたらしている国民投票結果から、すでにイギリス国内の分裂が深刻であることが見て取れる。もし分裂の情緒が今後も拡大すれば、イギリス社会は激動化するだろう。イギリスEU離脱の国民投票を終えおそらくスコットランド、北アイルランドなど独立国民投票を追随すると見られるがEU離脱を選択した民衆のその後は、イギリスの崩壊に繋がる可能性がある

ある世論調査によると、多くのEU構成国がイギリスを見習って「EU離脱」の是非を問う国民投票を開催したい考えで、中でもおそらくイタリアが次の国民投票開催国になる可能性があるとしている。少し前に、イタリアの市長は新興勢力によって選挙を勝ち抜いており、イタリア国民が変化を求める決心を抱いていることを物語っている。変化を求める心理状態であるならば、イタリアが次のEU離脱国となる可能性は捨てきれない。実のところ、近年「EUへの懸念情緒」が欧州に蔓延しており、多くのEU構成国がドイツ・フランス両国の問題解決手法に不満を抱いており、イギリスの「EU離脱」が「EUへの懸念情緒」をさらに加熱させ、より多くの国々にEU離脱を試みる勇気を与えてしまう可能性が予想される。情勢が混乱状態となるなか、ロシアが混乱に乗じて、その国々を丸め込みEU離脱を煽る恐れがある。イギリスの「EU離脱」は結果的に欧州全体に「大再編」を誘発してしまった可能性があり、欧州に今後新たな覇者が出現するかもしれない。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

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