より進歩した「債務の株式化」新制度

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より進歩した「債務の株式化」新制度

[2016年11月30日]

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先日中国は「債務の株式化」(デット・エクイティ・スワップ)に関する指針を発表。17年前に発表された旧指針に比べ、新たな政策では多方面において優れた点が見受けられる。例えば、企業を「丸抱え」することはなく、「ゾンビ企業」が債務の株式化を実施できない等があげられる。新ルールの下では一部の企業が淘汰されてゆき、「万が一の際には政府が支えてくれる」といった時代は過去のものとなろう。長期的視点で見ると、中国では企業運営効率の引上げが必須でとなっており、今後は中国政府が問題企業への「盲目的な支援」を再び行うことはない流れにある。

指針によると、「債務の株式化」は第三者を通して実施する必要がある。すなわち、銀行が有する債権を資産運用会社に売却し、その後、資産運用会社が「債務の株式化」を実施することとなる。このフレームワークにおいては、資産運用会社が銀行のリスクを引き受けることとなり、これは銀行にとっての利点となる。デフォルトリスクが存在する為、資産運用会社は簿価で銀行の債権を引き受けることは出来ない。言い換えると、銀行はまだ債権に対し、一定レベルの減損を行う必要があるということになる。減損の程度は、銀行がどういった価格で債権を資産運用会社に売却するかによって、ほぼ決定される。そして債権売却後は、銀行の流動性が増加する。

「債務の株式化」政策の下では、資産運用会社は債務を抱える企業の株式を受け取る。「債務の株式化」を実施する企業は資金繰りに問題を抱える企業であり、このような企業の株式には高いリスクが伴う。デフォルトリスクを考慮すると、資産運用会社は市場価格より低いか、純資産価格より低い株価で株式を引き受けることとなる。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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