反体制勢力の台頭で高まる投資リスク

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反体制勢力の台頭で高まる投資リスク

[2017年1月3日]

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イタリアにおける憲法改正の是非を問う国民投票は否決となったものの、世論調査では早々に否決が示されていたため、世界の金融市場でパニックが現れることはなかった。今回の改憲の目的は、イタリア議会上院の権限を縮小し、権力を政府に戻すことにあった。ガバナンスの観点からみると、権力を政府に集中させることは行政効率を向上させ、経済改革の推進に好材料となる。しかしながら、いかんせん議会上院の権力削減は政府権力が過大となる懸念を生じさせる。近年における反体制勢力の声が大きくなりつつある状況下では、改憲否決は予想の範囲内といえよう。改憲の関門突破に失敗し、レンツィ伊首相は辞職を発表。これは、イタリアの総選挙が早まったことを意味し、反ユーロを掲げる「五つ星運動」が政権を握るがどうかがマーケットの次の注目点となる。もし、総選挙で「五つ星運動」が勝利を収めれば、ユーロ圏崩壊の懸念が必然的に上昇し、世界の金融市場にショックをもたらすことになろう。

欧州にとって、2017年は政治の年だと言える。イタリア、オランダ、フランスおよびドイツにて各々総選挙が行われ、イギリスのEU離脱交渉も始まる。欧州の長期的な見通しは、上記の結果がどのようになるのかが左右することとなる。欧州債務問題の勃発後、欧州経済はずっと回復を見せておらず、ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシャ・スペインといったPIIGS諸国の失業率は高止まりで、特に若者の雇用状況は悪い。経済が停滞を見せる中、ドイツが難民問題において財政難国家にも共に負担を求めることもあり、従来型のエリートガバナンスモデルは欧州において多くの支持者を失っている。ポピュリズムや保護主義、反統合派の台頭により、反体制の政党が今後欧州の大きな政治勢力となろう。

欧州だけではなく、アメリカでも反体制勢力台頭の影響を受けており、トランプ氏の大統領選勝利からもその影響を見て取れる。反体制派勢力台頭により、世界的に政治・経済情勢の予測がより困難となるだろう。ますます不確実な政治・経済情勢に直面し、今後の投資リスクはこれまで以上に大きくなると見られる。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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