不動産デベロッパーのデフォルト問題は買収合併の流れを触発か

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不動産デベロッパーのデフォルト問題は買収合併の流れを触発か

[2014年3月25日]

上海超日太陽及び天威保変問題に続き、中国本土で初となる不動産デベロッパーの社債がデフォルト(債務不履行)に陥った。今回のその主役は、興潤置業だ。資金繰りのストップに陥れば、興潤置業は銀行融資への返済が不可能となり、その関連額は24億元に達するとみられ、その内12億元は建設銀行からの融資である。ある報道によると、中国中央銀行及び建設銀行は早急に対策を講じており、銀行融資の部分は地方政府が担う可能性があると見られる。もし興潤置業のデフォルト問題を最終的に政府が負担した場合、これは改革の逆行になると言えよう。中国経済の市場化を実現するには、政府はできるだけ事業活動への関与を減少させ、企業に自己責任を担わせるべきである。即ち、企業は返済能力が無くなった場合に破産を検討し、銀行も不良債権への対応を進めるべきなのだ。こうしてようやく、企業及び銀行はリスク管理を重視できるようになろう。

中国本土の不動産業界は、負債比率が高い業界である。中央銀行が再び金融緩和策を行わない限り、より多くの企業が資金不足によるインパクトを受けるはずだ。資金逼迫に直面し、財政問題を抱える不動産が施工停止に陥る可能性が高まれば、長期間発生する事のなかった建設中止問題が今後再び発生する事になろう。不動産デベロッパーが銀行融資を得にくい状況を鑑みれば、十分な回転資金を確保するべく、デベロッパーは物件を投売りするしかない。中国春節が明けてから、中国本土では市場価格を大幅に下回る価格で販売されている物件が多数見られ、デベロッパーが品より資金を要していることが反映されている。銀行業界は不動産業界は複雑に入り組んだ関係であるため、中国本土の不動産問題の発生によって、先行きを楽観視し難い状況となっている。

長年に渡る急速な成長を経て、中国本土の不動産市場は機が熟し、不動産デベロッパー間での合併買収の動きが増加すると予測されていた。中国の大手不動産デベロッパーの大部分には政府方を後ろ盾にして、財政問題を抱えた物件を保有する不動産デベロッパーが買収合併することが、当面の危機を解決するベストなやり方だ。一連のマイナス材料によるダメージを受け、中国本土の不動産関連銘柄では弱含みが続いている。一線都市(北京、上海、深センなどの経済主要都市)の不動産デベロッパーが勝者となる可能性を期待できるものの、投資雰囲気はやや弱く、現段階においては好機ではない。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

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