- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2022年6月9日]
以前の記事で、中国の米国上場株(以下、中国株)が香港市場への回帰(以下、香港証券取引所への二次上場)を選択することのメリットについて言及した。5月、中国トップ3の電気自動車メーカーの1社が、アジア市場に回帰する際、シンガポールと香港の市場を同時に選択した。「SGX」と「HKEx」は、 ライバルとなるのか、それとも二人三脚となるのだろうか?
まずシンガポール証券取引所(SGX)の強みは、主に東南アジアにおけるリーディングポジションであり、企業がASEAN地域にビジネスを展開するための最良の選択肢となっている。 これに加えて、シンガポールは「発達した司法管轄区域」であり、中国株が回帰上場する際に、追加的な上場継続義務は課されない。つまり、企業が融資条件や義務を追加的に負うことなく、迅速な上場への支援が可能となっている。 また、SGXは政治的に中立であるため、企業は比較的自由に国際的な資金調達ができる。
そして香港証券取引所(HKEx)の強みは、「ローカルに強い」SGXよりも流動性が高く、投資家層が多様であることだ。 国際関係上、香港の米ドルペッグ制度は、米国にとってオフショア米ドルの価格を安定させるための重要なポイントであると同時に、世界最大のオフショア人民元ビジネスハブとなって、香港ドル資産の国際流動性を高めている。香港自身の価値の面では、香港の外貨準備は世界トップ6に入っており、通貨価値の変動幅を十分に安定させることができ、このためより幅広い海外投資家を惹きつけている。
5月末現在、27銘柄の中国株が何らかの形で香港に回帰している。 SGXは中国株回帰の新たな選択肢となるのだろうか。 そのためには、香港のコアコンピタンスの源泉にも目を向ける必要があるだろう。そう、中国経済だ。
最近、米国株が7週連続の下落を記録する中、中国A株市場は米国株の下落に徐々に「鈍感」になっており、市場は逆走して上昇カーブを進んでいる。 かつての世界経済のトレンドセッターであった米国株式市場は、もはや「どこまでもビッグ・ブラザーに追随する」というような注目はされていない。これは中国経済台頭のドミノ倒しが始まった可能性がある。 「下がった時ほど強気に」、米株式市場の下落に世界は追随しているが、我々はそうではない。 これは、中国市場の内部力学がまだ上昇していることを意味し、この先の強いトレンドが期待できる。香港株と中国本土の関係はますます密接になっており、中国市場への投資を考えている外国人投資家にとって、香港株への投資は最も便利な市場となっている。
アフターコロナ時代には、世界経済の構造は必ずや変化が発生してしまうだろう。私たちは投資家として、時代を先取りしたポジショニングをとるべきとなる。
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