日本の追加緩和で情勢が更に複雑化

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日本の追加緩和で情勢が更に複雑化

[2014年11月10日]

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日銀が突然の追加金融緩和を発表し、世界の主要株式市場が急騰した。株式市場の反応から、市場全体で日銀の追加緩和を歓迎していると言えよう。しかし、中長期的な投資を考慮してみれば、今回の日銀の動きは金融市場を不安定にさせ、投資環境を更に複雑化させたと言わざるを得ない。最近日本及び欧州の中央銀行はいずれも更なる金融政策に勤しみ、両エリアの金融政策の方向性は明らかに米FRBと相反している。更なるリターンを求めるため、日欧の中央銀行が増発する資金の流れは米国へ向かう可能性が極めて高い。資金が日欧経済に留まりたがらない以上、日欧の中央銀行の措置は成果を得難いだろう。

円安の恩恵を受けて日経平均が急上昇しているものの、日本株が上昇トレンドを継続できるか否かはまだ要観察である。円安化によって日本の競争力を強化できるものの、円安傾向が続けば、投資家が先々日本円資産の保有高を減らす可能性がある。日本の現在の債務総額はGDPの2倍以上となっており、ひとたび円安が投資家を触発して日本円資産の保有高を引き下げることになれば、日本に債務危機が勃発する可能性が高まる。また日本の債務問題が市場の焦点となれば、たとえ円安が更に進もうとも、日本株の上昇は難しくなる。債務危機の勃発を回避するためにも、日銀が円安化の制御不能に陥る事はないと言えよう。

今回の円安化は投資家による「恩恵を受ける銘柄の物色」を刺激し、食品、自動車、航空などの日本に関連する多くのセクターで株価が軒並み高騰している。円安の恩恵を受けられる関連銘柄は大きく次の3種類に分けられる。第1に、日本が輸入している原材料や部品、製品の関連銘柄。第2に、日本以外の国からの収益が日本円で計上される銘柄。そして第3に、日本円の債券関連銘柄だ。注意すべきは、円安はあくまで上述の3種類の銘柄を上昇させる要因の一つに止まる点だ。このため、もしこの他に突出したファンダメンタルが見当たらない場合、円安による株価上昇後、利食い売りによる株価下落の発生に要注意だ。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

 

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