人民元に通貨安圧力

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人民元に通貨安圧力

[2014年12月16日]

P1より多くの人民元預金を獲得するため、中国国内の銀行は近年相次いで高利による預金者の囲い込みに勤めている。中国政府が政策金利を引き下げるに従い、現地の人民元の預金利回りはすでに頭打ちになっていると見られ、この先高水準から反落する可能性がある。為替改革以降、人民元は反復上昇が続いており、多くの預金者と投資家が、人民元の下落はありえないと見ている。実際のところは、いかなる国の通貨であろうとも下落の可能性は拭いきれず、特に経済が下落傾向にある状況では、通貨価値が下落する可能性が更に高まるため、人民元が下落するはずが無いとみるのは非現実的であろう。

かねてより中国経済が弱まるたびに、中国人民銀行(中央銀行)による「放水」(量的金融緩和)の可能性に皆の焦点が集まってきたが、中央政府がインフラ建設投資を拡大させるか否か等の課題がある中で、人民元の動きは往々にして見落とされがちとなっている。事実上、経済調整は通貨の機能の一つであり、現在の経済環境の下で、中国が人民元を適度に下落させる可能性は大いにある。加えて、李克強首相は過去に何度も中国経済の市場化促進を掲げており、市場化という目標を実現するには、経済周期に合わせた人民元の上下変動を容認する事も必要となってくる。

経済要因が人民元安圧力をもたらしたほか、中国の近年の大量な「放水」もまた人民元安を誘発する要因となっている。リーマンショック後、欧米日等の国々では相次いで量的緩和を実施し、経済下落を阻止するため、中国もまた量的緩和の流れに加わった。データによると、中国の通貨供給量(M2)は今年10月末で120兆元にまで達しており、欧米日を上回っているだけでなく、2007年と比較しても80兆元の増加となっているのだ。通貨供給量(M2)が急増しているにも関わらず、中国本土経済は近年下落傾向が見られ、資金の効果が需要のある階層まで届いていない事が反映されている。

今迄のところ、人民元にまだ全体的な変動が見られないため、政府方によって人民元の下落幅は抑制できると予想される。長期的に言えば、人民元の国際化が進むに従い、経済パフォーマンスや通貨供給、市場資金の動きなどの要因が、次第に人民元の変動を主導していくと見られる。 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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