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スタッフコラム
[2014年11月19日]
近年、中国本土の指導者はたびたびセールスマンとしての役柄を担っている。習近平国家主席は「一帯一路構想」(「シルクロード経済帯」と「21世紀海上シルクロード」の建設)を打ち出し、また李克強首相は中国の鉄道および原子力発電産業の販売を海外に広げ、これらは中国版「マーシャル・プラン」であると言われている。では中国版「マーシャル・プラン」とは何だろうか? 簡単に言えば、中国の「国外進出」政策のプランの一部であり、企業の国外進出を促すことで中国の生産能力過剰問題を消化するのが主な狙いだ。この他、中国本土企業の「国外進出」を加速することで、人民元の国際化および国際舞台における中国の影響力拡大に役立つと見られている。
今年7月、中国はBRICSのその他4カ国と共に「BRICS開発銀行」の設立に合意、BRICS開発銀行の主な役割はBRICS各国及びその他開発中の国家発展インフラ建設への出資援助だ。今年10月までに、中国をはじめとする21の国々がアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に合意しており、中国は最大出資国となっている。ここまでの段取りを見ると、中国は国外へのインフラ建設の輸出及び資本のプラットフォームをすでに構築し、中国版「マーシャル・プラン」の準備が整ったことが反映されている。アジア開発銀行(ADB)は、2010年~2020年の間にアジア・太平洋地域のインフラ建設の資金需要はおよそ8兆米ドルに達すると予測しており、巨大なインフラ建設需要は中国が推進する中国版「マーシャル・プラン」の契機になると見られる。
中国版「マーシャル・プラン」によって、中国が生産過剰問題を解決できるか否か、その中のキーポイントの一つは、中国政府がどのように補助政策を実施するかだ。中国国内企業の国外進出を奨励するには、政府は企業に補助金を提供しなければならない。政策による補助のもと、補助金を得る事を目的として生産過剰を維持する企業が出てくる可能性も否めない。もしこういった情況が現れれば、中国の生産能力過剰問題は企業の国外進出による解決を見込めなくなるだろう。いずれにしても、中国企業の「国外進出」はすでに大局の赴くところとなり、インフラ建設に従事する企業が主に利益を得る者となろう。
テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
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