預金準備率引下げによる資金の株式市場流入を防ぐべき

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預金準備率引下げによる資金の株式市場流入を防ぐべき

[2015年4月29日]

A1先日、中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率を1%ポイント引き下げるとし、放出される資金は全体で1兆人民元規模になると見られる。これまで、預金準備率の下げ幅は通常0.5%ポイント程度であったが、今回の下げ幅はその倍であることから、中国本土経済の下方圧力が予想よりも遥かに大きいことを反映しており、中国政府は経済刺激にさらに力を入れる必要がある。引き下げ実施後、預金準備率は18.5%に下がっているが、ここ30年の平均値14%と比べ4.5%ポイント高いため、中央銀行には今後も流動性を高める可能性が残されている。中国経済に好転の兆しが見られないうちは、中央銀行は金融緩和環境を維持する必要があるため、利下げや預金準備率の引き下げが中国経済を底打ち回復させられるか否かは、まだ先の話である。金融環境の緩和維持が必ずしも経済回復を表していないため、利下げおよび預金準備率の引き下げが効果を出せるかどうかは、放出させた流動性が実体経済に流入するか否かにかかってくる。

今年の第1四半期、中国本土の新規貸付規模は予想を上回ったものの、経済パフォーマンスは理想的とはいかなかった。この現象から銀行の貸付が実体経済に流れ込まず、投機的な株式投資の売買に用いられた可能性が疑われているのだ。過去数カ月で、A株は巨大な上昇幅を累積しており、経済の下落傾向に変化が見られない状況で、A株のPERは次第に異常に高すぎる状況となってくる。これまでの歴史を振り返ると、株式市場の相場が長期に渡って経済と相反する動きをする事はあり得ないため、もし中国経済がこの先数カ月も依然として好転の兆しが見られない場合、A株にバブル崩壊の可能性が出てくる。その際、株式市場に流入している貸付資金のうち不良債権と化す部分が出てくる恐れがあるだろう。中国本土経済にとって、株式市場の上昇はメリットもあるが、資金が株式市場にばかり流入しているような場合、政府はこの現象を直視しなければならない。

大多数の人々が株式投資に参入する状況下で、上海総合指数では一日あたりの取引総額が1兆元を突破しており、大規模な取引額は本土の株式投資家たちによる投機的売買の過熱が続く事を反映している。A株であれ香港株であれ、両エリアの株式市場のここ数カ月の上昇はホットマネーが牽引しており、市場に出回る資金がひとたび減少を始めれば、株式市場は短期の内に上昇動力を失う事となるため、この点が株式市場の現時点での最重要リスクとなっている。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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