中国、大規模政策に依存せぬは悪いことではない

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中国、大規模政策に依存せぬは悪いことではない

[2016年5月23日]

SSEC(上海総合指数)

最近、「権威ある人物」が中国政府系メディアである人民日報で、中国経済がこの先「L字型」のトレンドとなる可能性を指摘。この記事は、中国経済の衰弱を感じさせ、評論家や学者たちに経済悲観を提唱しないよう求めたこれまでの政府とは明らかに異なっている。人民日報は中央政府の代弁者として、報道内容を必ず国情に合致させなければならない。政府系メディアが突如として中国経済悲観の記事を出現させたことは、中国経済が今なお十分に挑戦的である事を物語っている。

少し前に、中国で発表された経済指標には改善が見られ、製造業PMIが再び50に上昇、PPIの下落幅も狭まるなど、市場では中国経済が「U字型」に回復することを期待している。もしかすると、政府は経済がこの先一定期間は現状維持になると見て、市場からの経済回復への期待が高まりすぎることを避けるため、意図的に「権威ある人物」の「L字型」トレンド論を発表させ、過熱する回復予想をクールダウンさせたい狙いのようだ。

「L字型」トレンド論のほか、国務院副総理・張高麗氏は大規模な景気刺激策によって市場の注目を集める事はないと強調している。もとより市場では中央政府が再び更なる力量で景気刺激を行う可能性を待望してきた。しかし張高麗氏の発言から、市場では中央政府が景気刺激措置を行う可能性は低いとの見解が広がっている。このほか、中国の政府系資金である「国家隊」がしばしば市場介入する手法を批判し、頻繁に「高く投じて低く吸い上げる」ことで市場の持続性に影響する可能性があるとする政府系メディアも存在している。この記事の発表後、今後「国家隊」が市場介入する機会が減少すると見る投資家が出てきている。

実のところ、中国がふたたび大規模な景気刺激策に頼ることなく経済推進を図る事は、決して悪い事ではない。なぜなら大規模な経済措置は往々にして高レバレッジを生み、相次ぐバブル問題を誘発してしまうからだ。より温和な手段で経済を刺激する方が中国経済の長期的成長には有利であるものの、大規模な景気刺激策を棚上げした状態で、短期経済は否応無しに低迷局面を維持することになるだろう。「国家隊」については、筆者は必要なものではないと見ている。「国家隊」の市場介入を最小限にとどめることで、まずは民衆との利益争奪を避け、そして株価が市場の需要と供給によって決定されるべきであろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

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