香港不動産市場、新税制の効果は要観察

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香港不動産市場、新税制の効果は要観察

[2016年12月13日]

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投資需要を抑制するため、香港政府は2件目以降の不動産購入にかかる印紙税を15%に引き上げた。政府の発表後、不動産市場は急速に冷え込んでおり、多くの分析では不動産価格が少なくとも5%下落すると見ている。近年、政府はすでに何度も印紙税を引き上げており、長期的に住宅供給を増加させる事で不動産市場高騰の抑制を試みているものの、短期的なクールダウンしかできず、予想されていた効果を発揮してこれなかったが、これは客観的な条件がバランスよくかみ合わなかったことが主な要因と言えそうだ。

昨年12月の利上げ後、米FRBはこれまで次の動きをみせておらず、金利据え置きを続けることで不動産市場のパフォーマンスを下支えしてきた。市場において流動性に余裕があるなかで、たとえ米国が12月に利上げを行おうとも、香港も利上げを追随するとは限らない。このほか、世界的な経済情勢による妨げとなり、米国もすぐさま利上げを行う条件が揃わないことから、継続した低金利が資金の不動産市場流入を促している。

金利要因のほか、不動産市場のパフォーマンスは中国本土資金の流れによっても影響を受けている。住宅売買においては、中国本土のバイヤーが一定の割合を占めており、彼らにとって人民元安に対する懸念が香港の不動産を購入する理由の一つとなっている。中国本土の民衆が改めて人民元を楽観できるまで、今後も中国本土の資金は香港の不動産市場に流れ込むだろう。このように金利や人民元の動きはいずれも政府がコントロールできない要因となっており、もし上述の要因とバランスがとれなければ、政府による不動産市場の抑制措置は部分的にしか効力を発揮できないこととなる。

率直に言って、たとえ不動産価格が下落しても、一般庶民の不動産購入問題における価格高騰圧力が解決を得られたこと示しているわけではない。ここ数年で、不動産価格は巨大な上昇幅を累積しているため、不動産価格が数割下落でもしない限りは、一般人が不動産を購入するのは非常に困難なのが現状だ。しかし、もし不動産価格が数割も下落した場合、香港経済は急速に衰退し、一般人は失業への懸念を抱いて不動産を購入する自信を失うだろう。不動産価格はかなり高い水準を維持しており、多くの香港人はなんとか不動産を手に入れようと、ごくごく面積の小さい物件を購入するばかりだ。需要が拡大し、不動産デベロッパーが「狭く区切られた」物件に傾向していることを鑑みれば、「住むほどに狭くなる」現状を、政府はいかにして処理していくのか考慮しなければならない。

 

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム 
(筆者本人は香港SFCライセンスホルダーであり、上述の株式を保有しておりません。)

 

 

 

 

 

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