「オキュパイ・セントラル」は 上海・香港ストックコネクトの開始に影響なし

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「オキュパイ・セントラル」は 上海・香港ストックコネクトの開始に影響なし

[2014年10月14日]

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近日、香港民主化デモによる「オキュパイ・セントラル」(中環を占拠せよ)の影響によって「滬港通」(上海・香港ストックコネクト/株式市場の相互乗り入れ)の開始が延期される可能性が絶えず報道されている。中国にとって、「滬港通」は非常に重要な改革の一つであり、人民元が対外的に全面開放される過程であることから、筆者は中国政府がオキュパイ・セントラルを理由に「滬港通」の開始時期を延期させる可能性は無いと見ている。もし10月中に「滬港通」を開始できない可能性があるとすれば、中国本土と香港の両エリアで税務等の細部の手配が間に合わない等が要因となろう。いすれにせよ、「滬港通」の重要性に基づけば、遅かれ早かれ確実にスタートを切ることになる。

人民元通貨改革に加え、「滬港通」は中国本土の株式市場が国際進出を果たせるか否かにも関係してくる。未だにA株が世界的な株価指数の構成銘柄に組み入れられていないのは、中国以外の投資家によるA株の売買ができない点が主な障害となっている。「滬港通」にも限度額や銘柄制限あるものの、以前の外資による売買禁止と比べれば確実に相場の上昇突破をもたらしている。MSCIは来年5・6月頃にA株をMSCI新興国株価指数に組み入れるか否かの結果を発表をする見通しで、もし「滬港通」が順調に運営できれば、A株が国際舞台に踊り出るのは目前となろう。

一部では、ひとたび中国の取引所が「滬港通」のモデルを参考にしてその他の主要な株式市場との相互乗り入れを実現するようになれば、香港の優位性が損なわれるのではとの懸念の声もある。これについては、さほど懸念の必要は無いだろう。まず第一に、「滬港通」の効果は依然未知数であり、実施の過程において障害が発生するか否かは様子を見る必要が有るため、十分に掌握できない間に中国政府が急いで新たな相互乗り入れを推進する可能性はさほど高くないのだ。また、中国本土の株式市場が他のエリアの株式市場と相互乗り入れするのは非常に複雑なプロジェクトであるため、相互乗り入れの実現には、法規制、管理監督体制、文化や取引習慣などの相違を真っ先に解決しなければならず、その過程を終えるには数年を費やす事になる。上海と香港は、同じ中国に属する兄弟都市であるため、両エリアでの問題解決の際には比較的共同認識に達しやすく、こういったメリットはその他の海外市場ではなかなか実現に及ばないだろう。

テンガード ファンドマネージメント ディレクター パトリック・シャム

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