- テンガードホールディングスリミテッド
スタッフコラム
[2014年3月3日]
2014年、中国の製造業PMIは下落を続けています。中でもHSBC発表による製造業PMIは更に下落し50を下回っており、製造業全体が衰退の局面に入っています。更に懸念されるのは、中国経済の支柱である不動産市場においても危機のシグナルが現れ始めている事です。最近では、中国本土及び香港の両エリアでマンション価格の下落が見られています。香港SHKP(サンフンカイ・プロパティ)では価格下落が40%に達したマンションがあるとし、中国本土では杭州や常州などの都市で、値引きによるマンションの販売促進が始まっています。更に銀行業界では、各大手銀行が住宅ローンを一時停止する可能性を伝えるニュースが見られ、もし事実であれば、不動産市場に非常に大きなインパクトをもたらす可能性が高いと言えます。しばらくの間“市場崩壊”や“バブルが弾ける”といったフレーズが頻出し、市場の人々の心を脅かすでしょう。
中国政府の統計データによると、中国では1月に70の大型・中型都市において、新築商品住宅の価格平均が前月比0.49%増へ下がり、昨年12月の0.51%増からやや反落となっています。住宅価格が前月比増の都市の数量で見ても、昨年12月に比べやや減少しており、「一線都市」と呼ばれる北京、上海、広州、深センなどの主要都市でも値上がり幅が反落しています。全体的に、これから一年の中国の住宅価格上昇のトレンドにはすでに弱含みが見られ始めており、依然として値上がりが主旋律ではあるものの、上昇幅は狭まりつつあります。政策規制下の経済環境の影響を受ける中、過熱していた不動産市場は確実に温度が下がり始めています。
2013年の新興国市場からの資金流出は中国にさほど大きな影響を及ぼす事はありませんでしたが、今年は状況に変化が生まれ始めています。ここ最近人民元は対ドルの為替レートが続落しており、一週間で0.8%減もの大幅下落となり、国際的に資金が中国から流出しつつある兆候が見られます。資金の流出は中国の不動産市場にとって非常に大きな脅威となります。大量の国際的資金の支持を失えば、あっという間に不動産バブルは非常に脆いものへと変化してしまいます。加えて、中央銀行は確実に金融引締め政策を推し進め、今年のこの状況を更に深刻化させるでしょう。
2月24日に中国の株式市場は1.75%も暴落し、不動産市場の様々なマイナス材料が市場にパニックをもたらし始めていると見られ、2月初めからの反発は早々に終了したと宣告せざるをえません。否定できない事に、中国の不動産市場はすでに危機に面しています。しかし市場が崩壊する事態に至るのは、少なくとも今ではありません。その理由は非常にシンプルで、中国経済が下落傾向にある状況で、不動産市場の崩壊がもたらす影響の恐ろしさは容易に想像できるため、こういった事態の発生を防ぐべく、今後も政府が多くの措置を打ち出す可能性があるのです。そして、中国経済には、安定的な不動産市場の維持が不可欠です。中国政府の両会(全国政治協商会議と全国人民代表大会)は間もなく3月初めに開催となりますが、不動産問題は避けられないテーマとなっています。将来的に住宅価格が上昇するのか、はたまた下落となるか、今回の会議が何らかの答えが提供されるはずです。
テンガード ファンドマネージメント アナリスト ザック・ジャン
証券取引委員 (SFC:Securities and Futures Commission) の Type 4, 9 のライセンスを取得しているファイナンシャルアドバイザーです。
香港強制性公積金計劃管理局 (MPFA: Mandatory Provident Fund Schemes Authority) の正規取扱代理店です。
香港保険業監管局 (IA: Insurance Authority) に正式登録されているライセンス保有代理店です。